キリンビジネスシステムの長谷川慎社長
キリンビジネスシステムの長谷川慎社長

 キリングループの情報システムを管轄するキリンビジネスシステムの長谷川慎社長は2008年1月から、社員の一部をキリンビールなどの事業会社各社に出向させる方針を明らかにした。事業会社の業務を経験させることで、現場のニーズをくんだ情報システムを開発できる人材を育成する狙いである。

 出向の対象になるのは、キリンビジネスシステムの全社員250人のうち10人程度。期間は3~5年程度を目安とする。当初は各事業会社が業務に利用するシステムのサポート業務などを担当する予定だが、「必ずしも情報システム周りだけに制限するつもりはない」(長谷川社長)。将来的には商品企画など、事業会社の中核業務を経験することも考えられるとしている。

 キリングループは2007年7月に持株会社体制に移行した。これにともなって、各事業会社の情報システム・情報企画部門をすべてキリンビジネスシステムに移管した。これによりキリンビジネスシステムは、グループ全体を見通したシステム企画・開発を推進する立場となった。

 さらに、事業会社との組織上の関係も、従来の親子関係から対等なものに変わった。この結果、「自ら積極的にシステムの企画・開発を提案していこうという意識が育ってきた」(長谷川社長)。従来は、親会社のキリンビールが企画したシステムを受託開発するという受け身の姿勢になりがちだったという。
 
 キリングループでは全体の経営方針として、グループ会社間の人材交流を増やす目標も掲げている。そこでシステム担当者にまずは各事業会社の業務内容をよく理解してもらうため積極的に出向を実施することにした。