東京都府中市の府中市立中央図書館は12月1日,ICタグ(RFID)を利用した図書館システムを稼働させた。本に取り付けたICタグを読み取ることで,貸し出し作業の効率化や万引き防止,本が置いてある正確な位置を利用者に知らせるといったことが可能になる。利用しているICタグは,動作周波数が13.56MHzのもの。システム構築はNECが担当した。

 ICタグを使うことで,同図書館は有人の窓口で本を貸し出す場合と,自動貸出機で貸し出す場合の両方で効率化を図っている。いずれも,貸し出す本を認識するために,ICタグを読み取るリーダーを利用している。バーコードの場合は,その位置を人間が認識して,バーコード面を読み取り機にかざす手間が必要にある。一方ICタグは,リーダーの読み取り範囲であれば,自動的に読み取ってくれるので,手間がかからない。

 ICタグを使って貸し出し手続きをすると,DBに格納した本の管理情報が「貸し出し状態」に書き換えられる。この情報は,蔵書の状況を把握するだけでなく,万引き防止にも使われる。貸し出し状態ではない本を持って図書館を出ようとすると,出口に設置してあるリーダーがICタグを認識して,アラートが鳴るようになっている。

 ICタグは,図書館内に設置した端末から,本が図書館内のどこあるかを検索する際にも使われている。これは本を置いてある棚にリーダーを設置し,棚にある本のICタグを読み取って,図書館システムのDBに本の管理情報と棚の情報をひも付けして管理することで実現している。対象となる本は,返却棚にある本や,新着棚の本,特集棚の本,予約棚にある本である。特に予約棚にある本を端末で検索した場合は,その場所を示したレシートを発行するとともに,棚に設置したカラー・ランプを点灯させることで,利用者に場所を知らせるようになっている。