戦略機能部門(IT・ロジスティックス)統轄 ITネットワーク本部長 SCM推進本部長・CIOの原田努取締役常務執行役員
戦略機能部門(IT・ロジスティックス)統轄 ITネットワーク本部長 SCM推進本部長・CIOの原田努取締役常務執行役員

 菱食は今年度(2007年1~12月期)から取り組んでいるSCM(サプライチェーン・マネジメント)やロジスティックス分野の改善運動「リョーショクブランド創造プロジェクト」の進ちょく状況を明らかにした。

 同社はこれまでもIT(情報技術)を駆使してローコスト経営を推進してきたが、さらに強化する目的で同プロジェクトを発足させた。

 プロジェクトリーダーはSCM推進本部部長でありCIO(最高情報責任者)を務める原田努取締役常務執行役員が担当している。

 原田氏によれば、同プロジェクトによるコスト削減効果は2007年12月期で十数億円に上る見込みだという。具体的には、人材配置の最適化や、物流拠点の統廃合、物流業者との共同の業務改善など多岐に渡る活動を実施した結果だという。「まだまだ市場はデフレ状態が続いており経営環境は厳しい。長年ローコスト経営に取り組んできたが、さらに進めていく必要がある」と原田氏は説明する。

 確かに同社は2006年度、利益確保に苦しんだ。売上高は1兆4367億円で前年度より11.6%増えたにもかかわらず、営業利益は57億円で51.9%も減少。その結果、対売上高営業利益率は0.4%で前年度から0.5ポイント減少した。

 今期の目標は売上高が2.6%減の1兆4000億円、営業利益は8.8%増の62億円を掲げており、同プロジェクトのコスト削減は大きく業績向上に貢献する見込みだ。

 その一方で、同社は大手小売業との関係強化のため地方の物流拠点への投資も積極的に行っている。特定企業向けの物流センターであるSDC(スペシャライズド・ディストリビューション・センター)は、2月に岡山SDC(岡山市)、6月に埼京SDC(千葉県野田市)、11月に札幌SDC(北海道北広島市)を相次いで稼働させているなどだ。このほか小分け業務などを行う新拠点分と合わせると2007年度はシステム開発に前年より9300万円多い8億4000万円を投資することを予定している。