イースティルが提供する株価チャートの例。株価や株式分割など細かな情報を積み重ねでできている
イースティルが提供する株価チャートの例。株価や株式分割など細かな情報を積み重ねでできている
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イースティルの源口宏社長
イースティルの源口宏社長

 金融専門情報サービスのイースティル(東京・中央区)がシステム運用ノウハウを武器に業容を拡大している。取引所が発表する為替・株の動き、企業の財務諸表などの金融情報を、独自に開発・運用する情報システムで収集・加工し、東洋経済新報社やフィスコといった情報事業者に供給している。

 この情報は、各種ポータルサイトやネット証券、金融機関の店頭などを通じて個人投資家の目に触れるほか、機関投資家の間でも幅広く使われている。ただし、イースティルという名前が表に出るわけではなく、黒子に徹した存在だ。

 源口(みなぐち)宏社長は日本ディジタルイクイップメント(現日本ヒューレット・パッカード)でソフトウエアの研究開発に従事。さらにロイターで金融情報サービスに関わった後、2000年にイースティルを設立した。「IT技術者として、自分のやるべきはインフラの部分だと思った。コストがかかるだけでみんながやりたくない部分を我々が請け負うことで、技術者としての価値を提供できると考えた」と話す。「ネットビジネス」がもてはやされた時期に、縁の下の力持ちに徹するビジネスモデルを選択した。

 金融情報を扱うにはきめ細かな対応が必要になる。コンマ数秒でも情報が遅れると投資家の判断に支障が出る。東京の大停電や台湾の大震災では、基の情報が途切れるような異常事態も起きているが、影響が及ばないようにその都度対応した。

 株価やPER(株価収益率)などの指標は一見すると単純な数値だが、発行済み株式数の増減や合併・買収など日々発生する出来事を漏れなく反映しなければ、数値の質は保てない。アルバイトや外注などは使わず、13人の正社員だけで突発事象や日々の変化に対応している。

 株価などの定型データは専用線を通じて外部とやり取りしているが、証券会社の略称表記やシステム障害の情報など、一部の非定型的なやり取りには電子メールも使っている。「電子メールは重要な道具の1つだが、SPAM(迷惑メール)が受信メールの半数を占める」(源口社長)

 対策強化のため、今年春からクリアスウィフトの電子メールセキュリティーツール「MIMEsweeper Email Appliance」を導入した。「従来は自力でSPAM対策をしていたが、少数精鋭の技術者の時間を費やしたくはなかった。新ツールでは、メールをやり取りする相手先ごとにSPAM判定基準を細かく設定でき、不要なメールをほぼ排除できるようになった」(同)という。