ファミリーマートが今年7月に全店導入した電子マネーEdyとiDの共用決済端末。
ファミリーマートが今年7月に全店導入した電子マネーEdyとiDの共用決済端末。首都圏の店舗では、これとは別にSuica端末が設置されている
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 ファミリーマートが、電子マネーの導入やポイントカードの刷新など支払いサービスの強化を急いでいる。同社はJR東日本がIC乗車券Suica(スイカ)の電子マネー(ショッピング)決済サービスを始めた直後の2004年9月に、一部店舗でSuica決済サービスを開始。順次導入店を増やし、今年7月までに首都圏などSuica導入地域の全約2600店に展開した。

 さらに同月までに、首都圏も含めた全約7000店で、ビットワレット(東京・品川)のEdy(エディ)と、NTTドコモのiD(アイディー)が使える共用端末を設置。最大3種類の電子マネーを使えるようにした。従来は独自のポイントカード「ファミマカード」も展開してきたが、今年11月以降は、これをレンタルソフト店のTSUTAYAや、映画館ワーナー・マイカル・シネマズなどが加盟する「Tポイント」に切り替える。「ファミマTカード」(原則としてクレジット機能付き)を新たに発行する。

 ファミリーマートは、外部の電子マネーやポイントサービスを取り入れる理由について、「(購買金額の少ないコンビニでは)独自ポイントを展開しても、お客様にとってはなかなかたまらない印象になる」(経営企画部事業開発グループの藤田聡マネジャー)と説明する。現時点では3種類の電子マネーカードとファミマTカードのポイントは別立てになる。将来的には、システム上で複数のカードの利用状況をひも付けして、ポイントや購買動向を一元管理することも検討している。

 3種類の電子マネーのうち、最初に導入を始めたSuicaの導入効果は既に表れているという。「お客様にとって、在店時間が短いコンビニで、レジの会計時間が半分以下になるメリットは大きい。これまで競合の大手コンビニチェーンはSuicaを導入していなかったので、差異化にもつながった」(同グループの桑原紀貴氏)。

 駅に近い店舗でのSuica利用率は最大約20%に上る。Suica利用者の客単価は全体より低いが、「客数が増える効果があり、Suica導入店の売上高は、未導入店を3ポイント程度上回る水準で推移した」(桑原氏)。

 あとで導入したEdyとiDについても導入効果を検証中という。「お客様は利用シーンによって支払い方法を使い分けるはず。通勤・通学中の急ぐときにはSuicaを使い、深夜に高額の買い物をするときにはファミマTカードを使ってもらえればと思う。Edyは全日空との共同キャンペーンなど、他の加盟店との相乗効果に期待している」(藤田マネジャー)