NTTデータの社員が感謝し合う仕組み「サンキューポイント制度」の利用画面イメージ
NTTデータの社員が感謝し合う仕組み「サンキューポイント制度」の利用画面イメージ

 NTTデータはこのほど、他部署の仕事に協力した社員に感謝の気持ちをこめたポイントを送ることができる「サンキューポイント制度」を導入した。同制度は人事評価制度とは連携していないが、期初に立てた目標とは別の形で会社に貢献したことを表彰しようというもの。

 「特定の顧客へのアプローチの仕方や技術ノウハウを教えたり、顧客を他部署に紹介したりするなど、組織の壁を超えて社員同士が協力し合う風土を築く」と、グループ経営企画本部の青木弘之・経営企画担当部長はサンキューポイント制度を導入した狙いを説明する。

 個人間でやり取りするサンキューポイント制度は、電子的に実現してある。自社開発の社内SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイト上にポイントを送るボタンを付けた。ボタンをクリックすれば、感謝の言葉を書き込む画面が表示される。グループ経営企画本部が獲得ポイント数の多い社員を四半期ごとに表彰し、最多ポイント獲得者には3万円程度を贈る予定である。

 この仕組みを考案したグループ経営企画本部は、社員に対して「業務上で何らかの支援を受けて感謝したときにポイントを送ってください」と案内した。7月と8月の2カ月間で約1500件のポイントがいずれかの社員に送られた。NTTデータの社員数は約8300人なので、単純換算では5人に1人がポイントを受け取った計算になる。

 ポイントを送るのに、細かい規定は設けていない。乱発される可能性もあるが、「ガイドラインを明確にしすぎてしまうと、最初から使ってもらえない。まずは乱発するくらい多くの社員に利用してもらって、感謝し合う風土を高めたいと考えた」(グループ経営企画本部の田崎文子・経営企画担当)。例えば、同社の山下徹社長に対して「中期経営計画達成イベントでの社長の発言に奮い立ちました」というコメント付きのポイントを送った社員がいたという。

 このように、評価者となるラインの上長からだけではなく、同僚や他部署から明確な形で感謝の気持ちを示されることは、社員のモチベーションアップに大いにつながる。さらに、部分最適に陥りがちな巨大企業に全体最適の視点を育み、部門間連携力を強める効果も期待できる。こうした社員同士が称え合う仕組みを導入する効果は、世界的な化学メーカー大手の米ダウ・ケミカルが導入した「Recognition@Dow(リコグニション@ダウ)」でも実証されている

 またNTTデータは、他部署を支援した別の部署にカードを送る「サンキューカード制度」も同じ7月にスタートさせている。こちらはサンキューポイント制度とは違って、組織評価をする際の加点ポイントという扱いになる。年度単位で表彰式を開き、最優秀部署には50万円程度を贈る予定である。