「my Picturetown」のアルバムサイト。右下は、このサイトに写真を直接送信できる機能を持つデジタルカメラの新製品「COOLPIX S51c」
「my Picturetown」のアルバムサイト。
右下は、このサイトに写真を直接送信できる機能を持つデジタルカメラの新製品「COOLPIX S51c」

 「昔にくらべて、家族揃ってアルバムを見ることって少なくなったよね。いつでも、どこでも、みんなでアルバムが見れるってよくない? 人生って写真がないと物足りないよね。大切な一枚の写真、いつまでも残したいよね。写真の未来って、どうなって行くんだろう」

 ニコンは、9月14日に発売したデジタルカメラの新製品「COOLPIX S51c」をトリガーにして、写真を楽しむ新しいライフスタイルを積極提案していく。デジカメで撮影した写真をその場で、友人や家族などに“送信”できるようにした。

 冒頭の言葉は、ニコンの今秋のコンパクトデジカメ新製品8機種の発表会で問いかけられたメッセージ。今回この問いかけへの答えとして「my Picturetown(マイピクチャータウン)」と呼ぶ新サービスを8月30日にスタート。これはデジカメの撮影画像の保存、閲覧、伝達までを統合したオンラインサービスである。写真の最終的な目的である楽しむ価値をニコンが自ら提供すべく、プロジェクトチームを発足させていたのだという。

 マイピクチャータウンは、ニコンが運用する写真アルバムサイトを中核に据えたサービスである。このサイトでは2Gバイトまでの写真データを無料で保管、月額350円を支払えば容量を20Gバイトまで拡大できる(来年2月までは無料)。

 COOLPIX S51cは、街中の公衆無線LANアクセスサービスや自宅の無線LANを使うことによって、マイピクチャータウンのサイトに写真データを送信できる機能を持つ。さらにCOOLPIX S51cには、同サイトを経由して、パソコンや携帯電話にメールを送る機能もある。メール本文に記載されたURLをクリックすると写真が表示される仕組み。また、送信先のメールアドレスは、カメラさえあれば設定できる。つまり事実上、デジカメで撮影した写真をすぐに家族や友人に送ることができるわけだ。

 無線LAN機能を内蔵したデジカメは、ニコンとしてはこれが7機種目。競合他社も無線LAN機能を持つデジカメはいくつか発売済みである。だが、パソコンを使うことなく任意のあて先に写真をカメラから送信できるのは、今回が初めて。今後こうした機能を持つデジカメの選択肢が増え、公衆無線LANなど街中の通信環境が整備されれば、ニコンが提案するような写真の楽しみ方が文化として定着する可能性は高いだろう。

 ニコン映像カンパニー新規事業プロジェクトの大槻正リーダーは、「キーワードは『写真、解放』。撮った後の楽しみは、撮った瞬間から始まる。新サービスによって、メモリー容量がいっぱいになっても安心、(写真を保存する)自宅のパソコンがトラブっても安心、など様々なメリットがある。このサービスはグローバルに展開し、2008年3月末までに100万人、2009年12月末までに270万人の会員を集めたい」と今後の抱負を語る。大槻リーダーは、本プロジェクトのために2006年12月にソニーから転職した。以前は犬型ロボット「Aibo」の開発などに携わっていたという。