刷新後の「オー人事ネット」の画面。登録者の状況に応じた画面を表示
刷新後の「オー人事ネット」の画面。登録者の状況に応じた画面を表示

 人材派遣大手のスタッフサービスは10月1日に、運営する人材情報サイト「オー人事ネット」を強化・刷新する。人材派遣業界では、景気の拡大や少子化などの影響で、求職者の確保が困難な情勢。新サイトでは基幹システムとの連動を強化し、既存登録者のフォローの強化と、各種事務作業の効率化を狙う。投資額は約1億円。

 既存の「オー人事ネット」は2002年に開設されたが、もっぱら新規に求職者を募集する際の窓口として機能してきた。スタッフサービスは「フリーダイヤルオー人事オー人事」のテレビコマーシャルで有名だが、実際には求職者からの電話での問い合わせの比率は3割程度まで減っており、ウェブサイト(携帯電話向けサイトも含む)経由が7割を占めるという。

 ただし、スタッフサービス・オフィスマネジメント(グループの事務統括会社)Webマネジメント部の前田佳由ゼネラルマネージャーは、「最近、20代の人口が減るにつれ、スタッフ(求職者)の新規獲得が難しくなってきた。そこで、スタッフサービスに登録済みの既存スタッフのフォローを重視する方針に転換している。しかし、当社の営業担当者による人的なフォローの総量には限界があるため、ウェブサイトをうまく活用したいと考えた」と説明する。

「オー人事ネット」を担当する前田佳由Webマネジメント部ゼネラルマネージャー(左)と、重元理恵・同補佐
「オー人事ネット」を担当する前田佳由Webマネジメント部ゼネラルマネージャー(左)と、重元理恵・同補佐

 新サイトでは、登録者に対して同じ情報を表示するのではなく、「お仕事探し中」「就業中(開始直後)」「就業中(契約更新直後)」など7つの状況に分類。状況に応じた情報をきめ細かく表示する。登録者は通常、スタッフサービス以外も含む数社の派遣会社に登録している。「それぞれの状況の人に、スタッフサービスのほうが便利だと感じてもらう必要がある」(前田ゼネラルマネージャー)

 「探し中」の場合は希望の条件に合った最新の仕事情報を表示する。仕事を検索する際の条件設定は、社員食堂の有無、喫煙の可否、服装など、かなり細かな指定をできるようにした。勤務地の近くにスポーツジムがあるかどうかなども表示する。

 新サイトにはアンケート機能も盛り込む。7つの状況などに応じて、仕事の希望や、就業中の不満などについて質問。その結果を営業担当者に伝えるなどして、登録者の適切なフォローにつなげる。

 就業中のスタッフ向けの画面には、社会保険や税務関連手続きの連絡や、有給休暇の残日数などを表示する。有休取得申請といった勤怠管理関係の申請もウェブで受け付けられるようにする。スタッフにとっては、従来は紙や電話などを使っていた煩雑な手続きがウェブで気軽にできるメリットがある。

 スタッフサービス側にとっても、全国数カ所にある事務センターや、営業担当者の負担を減らせる。「事務関連の派遣社員が多いため、現状は各種手続きの電話問い合わせが昼休みと終業後の夕方に集中している。ウェブの活用でピーク時の負荷を軽減できるメリットは大きい」(前田ゼネラルマネージャー)という。