オフィス向けの複合機などを製造するコニカミノルタビジネステクノロジーズ(東京・千代田区)は今年度中に、補修部品の在庫削減プロジェクトを強化する。複合機のメンテナンス期間中に確保しておくべき補修部品の数量を予測する機能を、2006年8月に導入した在庫管理システムに加える。

 同社は、2003年にコニカとミノルタの経営統合に伴い、複合機部門同士が統合して誕生した。システム導入以前は、旧2社がそれぞれ世界各地に補修部品の在庫拠点を持っていたため、重複が生じるなどの無駄が生じていた。

 また、各拠点が持つ在庫量の決め方もバラバラだった。旧ミノルタでは、日本の本社で世界中で必要な数量を需要予測をしてから各拠点に発注量を指示していた。一方で旧コニカは、発注量を各拠点に任せていたといった具合だ。補修部品の総点数は17万点あるが、そのうち200点で全体の出荷量の5割を占めるように、低頻度部品は数多い。いったん欠品してしまうと納品までに2カ月かかってしまうこともあったという。そのため、拠点ごとにどう部品を配置するかが効率化のカギを握っていた。

 そこで2006年8月に、世界中にある全拠点の在庫状況を一元管理できる情報システムを導入し、各拠点の在庫量を日次で把握できるようにした。これに合わせて、拠点からの部品の発注方法を統一した。まず部品1点ずつを、製品の発売時期や需要の強弱で17に分類し、その分類ごとに各拠点に必要な在庫量を設定しておく。この設定条件に加え、本社の需要予測担当者が過去の動向に基づいて全体の在庫量を決め、各拠点への配分も決めることにした。各拠点は、本社が決めた数量に基づいて部品を発注する。

 同社ではシステム導入と並行して、中国や欧州、日本など各地で重複していた倉庫の統合を進めた。こうしたいくつかの在庫削減策を打つことで、以前は売り上げの8日分もあった注文残(顧客から注文を受けたものの、すぐに納品できなかったもの)が、2日分にまで減ったという。

 この成果を踏まえて、今年度中に新たに取り組むのが、補修部品の需要予測の精度向上だ。補修部品の必要量は、複合機本体の販売数量によって決まる。複合機の販売数量から将来必要となる全体量を予測し、いつどの程度補修部品を確保しなければならないのかをシステムが予測する。

 2006年に導入した在庫管理システムは、サービジスティクスアジア(東京・千代田区)の「Servigistics Parts Management(補修部品管理)」で、今年度中に追加導入する機能は「Life Cycle Module」と呼ばれるもの。

 同社では、製品の販売終了から7年間は補修部品を供給することをうたっている。「複合機の販売期間が終了した後に、補修部品の需要がどの程度あるかをできるだけ正確に予測することが、在庫を最低限に抑えるためのカギを握る」と、CS統括部部品サービス部の津村信雄部長は話す。これまでは担当者の経験と勘に頼りがちだった。新機能を追加することで予測精度を向上させ、偏在庫を無くすとともに顧客への納期短縮を目指す。