「お客さまアンケート」に取り組んだ総合企画部の横谷和也部長代理(左)と竹本和靖課長代理
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 奈良県でシェアトップの地銀、南都銀行は昨年、アンケート調査とインタビューを基に架空の顧客像である「ペルソナ」を作成した。定量・定性的な調査から得たデータを使って、架空の顧客の年齢や家族構成、年収といったプロフィールや価値観が伝わるようなエピソードまで書き込み、その顧客に関連する担当者全員で共有するという取り組みだ。もともとはコンピュータの開発現場で生まれたデザイン手法だが、最近ではマーケティングなどでの応用事例は増えている。同行では今後、様々な改善にペルソナを役立てていく予定だ。

 南都銀行がペルソナを作るきっかけとなったのは「お客さまアンケート」である。中期経営計画の基本指針の1つである「お客さま満足の向上」を目的に、2005年12月から1006年2月に、同行利用者7800人対してアンケートを郵送し、1393人から回答を得た。他行の利用者にはインターネット上で462人に調査を行った。

 次に南都銀行を利用者している回答者を、「富裕者層(投資信託あり)」「富裕者層(投資信託なし)」「ローン利用者層」「一般層」の4つに分類し、回答者のなかから7人にインタビューを行った。また他行を利用している回答者のうち41人にメールで質問に答えてもらった。

 こうした定量的・定性的な情報を基に5人のペルソナを構築した。それぞれのペルソナには名前や住所などの細かい設定が与えられ、価値観やライフスタイルが想起しやすいような記述も添えられた。感情移入しやすいように、設定に近い顔写真も付けられた。インタビューやペルソナの作成を担当したのは、コンサルティング会社の大伸社(大阪市)。

 出来上がったペルソナについて、総合企画部の横谷和也部長代理は「どのペルソナも支店時代に実際に会ったような人物像で、違和感がなかった。具体的なお客さま像を見ることで改善へのアイデアもわきやすくなった」と話す。南都銀行がペルソナを利用したサービスの改善や商品開発に取り組むのはこれからだ。