在庫の不稼働期間など、きめ細かい視点の分析を取り入れた[画像のクリックで拡大表示]

 電気機器メーカーのティアックは、在庫や販売管理費などの経営情報をリアルタイムで収集、分析する経営情報システムを構築、2006年末に全面稼動させた。

 BI(ビジネス・インテリジェンス)ソフトを利用し、部門ごとのP/L(損益計算書)まで公開することで、経営トップ、事業企画部門の意思決定を支援するほか、作業現場の改善活動などにも役立てる。

 経営再建中の同社は、2005年から「生産・物流・調達」「組織・人事」など、5つのテーマでCFT(クロスファンクショナル・チーム)による業務改革に取り組んできた。経営情報システムの構築は、このうちの「経営管理強化」の取り組みの1つ。従来は紙のレポートで現場から情報を吸い上げていたが、レポートの種類が多く、現場が作成作業の煩雑さに悩む一方で、経営トップや企画部門は業績把握に時間がかかることに不満を感じていた。

経営管理意識高まる

 新システムでは、国内拠点で利用するERP(統合基幹業務)ソフトから、情報分析専用のデータベースに1時間ごとにデータを取り込み、販売や生産データをほぼリアルタイムで照会、分析できるようにする。

 また、海外拠点からは日次でデータを吸い上げ、国内と同じデータベースで統合管理する。国内と海外で商品や部品コードが統一されていなかったが、システム開発を契機に相互を関連付け、一元管理できるようにした。

 新システムによって全世界の販売、生産情報を迅速に収集する体制が整ったため、月次の経営執行会議の開催日は月の第7稼働日から第3稼働日へと4日前倒しできるようになった。

 従来は経営トップや企画部門にのみ公開していた販売管理費などの情報も、一般社員が閲覧できるようにした。きめ細かいセキュリティー管理で、閲覧できる範囲を限定する。開発を統括した総務人事部の野村仁次長は、「月末には一般社員からの閲覧が急増し、自分の部門の業績把握に役立てている」と話す。

 開発に当たっては、部門や役職ごとの情報照会ニーズをくみ取って約20パターンの分析ができるようにした。在庫が全く動かない「不稼働月数」の長さによって、商品の廃棄を検討できるレポートなども提供する。BIツールには「ハイペリオン パフォーマンス スイート」を採用した。