RFIDタグ付きのパレット(「マウスパット」の下部)と読み取り用のゲート[画像のクリックで拡大表示]

 パレットレンタル大手の日本パレットレンタル(東京・中央区)は、2010年までに、パレット(物資の輸送に使われる木製やプラスチック製の荷台)約670万個すべてにRFID(無線IC)タグを付ける。既に約2万個のパレットにUHF帯のRFIDを搭載させた。

 レンタルパレットは、東京・大阪間など長距離の物流で、荷主が自ら空きパレットを回送しなくてもいいメリットがあるため、幅広く利用されている。パレットや、その上に積載した荷物の状況を個体ごとにリアルタイムで把握できるようにして、顧客企業におけるサプライチェーン管理の支援や、パレット自体の輸送効率化につなげる。情報システム部情報システム2課の谷口大輔・主任は、「海外の小売業では、納入業者にパレットへのRFID搭載を義務付ける動きがある。日本でも同様の動きが出るかもしれず、今から準備しておかなければ間に合わない」と語る。

 現時点ではまだRFID付きのパレット数が少ないため、一部の顧客企業との間だけで活用を始めている。今年1月から実施したハウス食品と共同の実証実験では、日本パレットレンタルや卸、ハウスの物流拠点にRFID読み取りゲートを設置。パレットの所在を1個ごとにリアルタイムで把握できるようにした。投資額は約2億円である。


日本パレットレンタルのRFIDプロジェクトを推進した谷口大輔氏

 これにより、空きパレットを回送する際に、パレットを満載できるタイミングでトラックを配車できるようになった。トラック運行の効率化により、二酸化炭素(CO2)の排出量を40.6%削減する効果があった。従来は空きパレットの実数を把握できず経験則でトラックを配車していたため、必ずしもトラックに空きパレットを満載できるとは限らず、無駄が生じていた。

 日本パレットレンタルは、パレットにRFIDを付ける研究を2000年ごろから進めてきた。「パレットの所在を把握して効率的に回収する上で効果が大きいことは分かっていたが、当時はタグ1個1万円ぐらいかかり、パレットそのもの(5000~6000円)より高くついた。今ではタグ1個当たり数十円で入手できるようになり、採算が合いやすくなった」(谷口主任)

 情報システムの構築では、日本オラクルのSOA(サービス指向アーキテクチャー)基盤である「BPEL Process Manager」と、RFID管理ツールの「Sensor Edge Server」を採用している。