大成建設が社内で使う「座席表&行動予定ボード」の画面。Ajaxで実装している
[画像のクリックで拡大表示]

大成建設のCIO(最高情報責任者)に当たる木内里美・理事社長室情報企画部長
[画像のクリックで拡大表示]

 大成建設は今年5月から、独自に開発した「座席表&行動予定ボード」を使い始めている。情報システム部門に当たる社長室情報企画部の約110人と、外部の協力企業の約40人が利用。オフィスによくある「行動予定表」のホワイトボードを電子化した。各人が、「在席」「離席」「外勤or帰宅」の区別と、行き先などのメモを入力。ほかの人は座席レイアウト画面で状況を一覧できる。情報企画部と協力企業の席は2つのビルの3フロアに分かれているが、別フロアの状況も分かる。

 在席状況だけではなく、自分の忙しさも「穏やか」「少し忙しい」「かなり忙しい」の3段階で入力できる。座席レイアウト画面では、「普通の人」「泣いている人」「火が付いた人」を模したアイコンで表示されるため、「声をかけても大丈夫かどうか」などの判断に使える。

 座席表ボードは、「Ajax(エージャックス、Asynchronous JavaScript + XML)」技術を使って実装しているのが特徴。各人はパソコンに特別なクライアントソフトを導入しなくても、ウェブブラウザさえあれば利用できる。Ajaxを使えば、一般的なウェブブラウザ向けのアプリケーションに比べて、使い勝手の良いユーザーインタフェースを実現しやすい。座席表ボードでも、リアルタイムで在席状況を更新できたり、マウスで座席表を指すと詳細情報を拡大表示できたりという機能を備えている。

 座席表ボードは、情報企画部の部員が2日間で開発した。大成建設の情報企画部では、Ajaxのスキルを身に付けるため、昨年から、情報企画部員約10人を順次、Ajax専門のベンチャー企業であるHOWS(ハウズ、東京・台東区)で研修を受けさせている。

 大成建設のCIO(最高情報責任者)に当たる木内里美・理事社長室情報企画部長は、「従来から、工事現場や本社の各部門用などに分かれた社内情報システムのウェブ画面を一元化して使い勝手を向上させたいと考えていた。ただ、2~3年前には社内ポータル構築のためのツールの価格が高く機能も貧弱で、実現を見送った。Ajaxはこうした状況を変える可能性がある」と話す。

 まずは情報企画部内でスキルを蓄積し、今後のシステム再構築に生かす考えだ。Ajaxを使えば比較的手軽に役立つツールを作れるため、「情報企画部員に物を作る楽しみを実感してもらう効果も狙っている」(木内理事)という。