NTTドコモは年内をめどに、利用者の行動履歴を分析し、利用者にとって有益と思われる情報を、適切なタイミングで携帯電話に提供する実証実験を開始する。

 その名は「マイライフ・アシスト・サービス」。約2000人の参加者を募集して、実験を行う予定。実験に参加するには、GPS(全地球測位システム)機能が付いた携帯電話に専用ソフトをダウンロードする必要がある。

 携帯電話に内蔵した専用ソフトが、携帯電話の位置情報をあらかじめ設定した間隔(30分おきなど)で、サーバーへ送信する。こうした位置情報を日々蓄積して、利用者の行動パターンを予測。利用者がある場所に到着すると、その場所で欲しいはずの情報を携帯電話に提供するものだ。

 例えば、毎日同じ時間帯に同じ駅を通過していれば、通勤経路とみなす。夕方の早い時間にいつも利用する駅を通過すれば、「仕事がいつもより早く終わって帰宅する」と判断。普段は情報提供しない飲食店情報などを提供する。休日であれば、映画館や美術館などレジャー情報を提供するといった具合だ。「利用者に、驚きや気づきを促せる情報を提供したい」とモバイルデザイン推進室の佐藤一夫担当部長は話す。

 日々の行動履歴だけでなく、利用者の感情も判断材料にする。専用ソフトには「アバター」と呼ばれる仮想上の自らの分身となるキャラクターを用意。アバターを通じて利用者に会話を投げかけて、利用者の好みを判断できる材料を収集する。様々な情報を基に推測することで、より精度の高い情報を提供したい考えだ。

 このプロジェクトは、経済産業省が次世代検索や解析技術の開発を目指した「情報大航海プロジェクト」の一環。経済産業省の八尋俊英・情報経済企画調査官は、「商用化を前提としたサービスを基に、共通技術を開発していきたい」と話す。NTTドコモの携帯電話に限らず、GPS機能が付いた携帯電話であれば、どこの携帯電話でも使えるインフラを目指している。