「作業割当表」を確認するサミットストアの副店長
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パート社員の作業時間を売り場で測定する、サミットの店舗サポート部員
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 競争が厳しいスーパーマーケット業界にあって、サミットは2007年3月期に9期連続で増収増益を達成した。その原動力になっているのが、同社が実践する人員配置手法「LSP(レイバー・スケジューリング・プログラム)」である。サミットのLSPには同業他社の食品スーパーから注目が集まっており、業界に広がりつつある。

 LSPを簡単に言えば、「必要な作業に人を付ける」ことを目的とした人員配置の考え方のことだ。こう言うと当たり前のように聞こえるが、多くのスーパーでは「その日に出勤している人に作業を付ける」という逆転現象が起きているのが普通だ。作業に人を付けるのではなく、人に作業を付けるから、現場には様々な作業の無駄が発生し、不必要な人件費が発生してしまう。

 そこでサミットは、店長が前月に予測する翌月の日別の売上高と客数を達成するために必要な各売り場ごとの売上高に対して、必要な作業量の「基準値」を計算し、そこに過不足のない人員を配置することにした。これがサミット流のLSPだ。

 こうして日々の作業を効率的にこなし、限られた人員で適正な「人時生産性」を実現する。結果的に、顧客にとって買いやすい売り場が作れ、同時に人件費の抑制にもつながるというわけだ。

 売り場でLSPを実践するには、作業に習熟した店員なら「この作業は、これだけの時間があれば、こなせる」という目安、つまり基準値が必要になる。この基準値を決定するため、サミットの店舗サポート部は現場に入り込み、パート社員の作業時間を測定している。

 こうした現地現物での作業測定で決まる基準値は、サミットが独自に開発した「LSPシステム」に登録され、ここから各作業に必要な日々の「人時(マンアワー)」を自動計算する。

 その結果と、パート社員の出勤スケジュールをつき合わせて、毎日の「作業割当表」を作成している。店長からパート社員まで現場にいる人たちは全員、10分刻みで割り当てられる作業割当表の行動スケジュールを見ながら、日々現場で働いている。