年間1250万人という入場者数を誇る「ディズニーランド・リゾート・パリ」。園内にはアトラクション、小売店、レストランがそれぞれ60前後存在し、1万2000人もの従業員が働く巨大施設だ。これほど大きな施設が安定的に収益を上げるには適正な人材配置が欠かせない。

 人材の適切な配置に失敗すると園内各地で待ち時間が延びる。アトラクションでの待ち時間が長ければ当然顧客満足度は落ちるし、当然顧客はリピーターになってくれない。小売店やレストランでの待ち時間の延びは、販売機会の損失につながる。

 ディズニーランド・リゾート・パリを運営する仏ユーロディズニーSCAでは、数年前から人材配置のためにビジネスオブジェクツ社製のBI(ビジネス・インテリジェンス)システムを活用してきた。レストランや小売店からのPOS(販売時点情報管理)データや数千人の従業員が手にする「ブラックベリー」と呼ばれる携帯端末からの報告で園内の状況をリアルタイムで把握。従業員の配置などで適切な施策を取るという。

 BI担当のフェルナンド・イアフラット、シニアマネジャーは、「待ち時間をゼロにするというのが導入の目的。待ち時間の短縮、顧客満足度と営業利益率の向上で成果があった」と話す。同社は6人の専門家が所属するビジネス・インテリジェンス・コンピテンシー・センター(BICC)が設けられている。BICCとは、せっかく導入されたBIツールが活用されないままにならないように、業務に定着するようにユーザー部門に働きかける組織だ。BIツールはツールの利用に関する知識や統計に関する知識が不足することで使えないことも少なくない。

 ユーロディズニーSCAでもIT(情報技術)部門とは別にBICCが存在し、BIツールの導入から定着までの支援を担当してきた。「当初は業務が文書化されておらず、どういう情報が重要なのか把握することに努めた」とイアフラット・シニアマネジャーは振り返る。BIの活用が効果を発揮し始めたのは2年ほど前だという。同社では現場から役員クラスまでがBIツールを使い、意思決定に役立てているという。