4月に稼働した統合GISの画面
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 京都府庁が業務改革を進めている。その一環として、今年4月に、職員の旅費申請などの手続きをウェブ上でできるようにする総務事務システムを稼働させた。

 さらに、本庁内や約200ある出先機関に存在していた庶務部門を、本庁内に設置した総務事務センターに集約した。このシェアードサービス化により、従来は出先機関と合わせて約120人いた庶務担当者を、19人にまで減らすことができた。人件費では8億5000万円のコスト削減になるという。同センターでは今後、旅費や給与計算の業務プロセスを標準化して、将来的には民間企業への業務委託も検討していく。

 総務事務システムの稼働前は、庶務業務は煩雑だった。例えば自家用車による通勤手当の計算では、職員の申請に対し、庶務担当者がいちいち調査したうえで支給していた。例えば京都府の北部は自動車での移動が多く、地図上でキルビメーターと呼ばれる測量機で距離を確定して支給額を決めていたという。

 こうした交通費関連精算の効率化で効果を発揮しているのが、同じく4月に稼働した統合GIS(地理情報システム)である。総務事務センターでは、交通費計算ソフトと組み合わせて活用している。通勤手当を申請する場合、申請者自らがGIS上に自宅と勤務地を設定するだけで自動計算できる。

 このGISは25市町村の住宅地図が表示できるので、建築申請など様々な確認業務にも活用できる。投資額は2億円だが、宇治市など府内の25市町村と共同利用する。京都府と市町村が連携して共同でシステムを構築することで、重複投資を避けコストダウンを図った。「無駄や重複した作業を減らすことで効率を上げていきたい」と京都府の業務改革推進室の原田智室長は語る。

 京都府は、2006年6月に全庁で業務改革に取り組めるように、専門部隊「京都府行政経営推進本部」を設置した。業務プロセスを洗い出し、効率的な行政運営を目指している。今回の庶務業務のシステム化・集約化もその一環だ。こうした取り組みにより、2008年度までに500億円に上る単年度の収支不足を解消したい考えだ。