京都銀行が新設した書類保管ルームには、1万1200個もの段ボール箱が書架にずらりと並んでいる。これら段ボール箱には、ICタグが貼付されている。これまで4カ所の保管センターに分散していたものを07年3月に集約した。

 ICタグ付きの段ボール箱に入っているのは、住所変更や振り込み依頼など、諸手続きのために顧客が記入した伝票類。新保管センターで管理する書類は、原則外部には持ち出さない。書類の参照依頼があれば、担当者が保管ルーム隣の作業ルームでイメージ・スキャンし、ネットワーク経由で閲覧できるようにする。事務部長の斎藤一雄理事は、「新保管センターでの集中管理により、個人情報の保護を徹底する」と意気込む。

 保管ルームへの入室手順も規定した。まず、参照依頼のあった書類を書類管理システムで検索し、該当する段ボール箱が置かれている棚番号を把握する。棚番号を目印に、ICタグ・リーダーを備え付けたモバイル・リーダーを押しながら入室。目的の段ボール箱を見つけたら、ICタグをリーダーで読み取る(写真1)。

写真1●伝票や書類を入れた段ボールの在庫・ロケーション管理を効率化
写真1●伝票や書類を入れた段ボールの在庫・ロケーション管理を効率化
(写真:竹内 由美子)[画像のクリックで拡大表示]

 リーダーは書類管理システムにつながっており、正しい段ボール箱かどうかが確認される。同時に、保管ルームからは、正しいことが確認できた段ボール箱しか取り出せない。保管室の出入り口にあるゲート型ICタグ・リーダーが常に見張っているからだ。故意は元より、過失でも不要な書類は持ち出せない。

 新保管センターの管理システムの構築費用は3000万円強。「業務の効率化とセキュリティ強化のためには必要な投資」(斎藤部長)との考えだ。07年4月からは、133ある営業店の金庫に保管している書類を1年をかけて保管センターに移している。毎日発生する書類も今後は、その日のうちにセンターに送る。各営業店で発生する書類の管理業務は、毎日1時間半。これをなくすと同時に、金庫のスペースを空けるのが京都銀行の狙いだ。

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