NTT東日本の社内SNSサイト「Sati」の画面
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 NTT東日本の社内SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイト「Sati」が元気だ。2005年10月に10人の参加者でスタートしたが、今年5月現在7552人まで増えてきた。サイト内に開設されたコミュニティは業務用が173、レクリエーション用が164存在する。同社の情報インフラとして定着しつつある。

 社内SNSを立ち上げたのは、ビジネスユーザ事業推進本部ビジネス営業部の山本寛理マーケティング担当課長。IT(情報技術)部門にいたわけではなく、「営業の前線にいる社員の声を聞いて、新しいマーケティングについて考える場を作りたい」というのが動機だった。「イントラネットやメーリングリストでは双方向のコミュニケーションは難しかった」(山本課長)のでSNSを選んだ。サイト名「Sati」は、パーリ語(原始仏典で使われていた言語)で「気づき」を意味する。

 当時、大企業が社内でSNSを活用している事例はほとんどなく、SNSのシステムを提供しているベンダーも少なかった。山本課長らはビートコミュニケーション(東京・港区)社の製品を導入した。全社的なインフラに育てるつもりはなく、あくまで法人営業の部隊内での情報共有を想定していたが、参加者は部門の壁を越えて増えていった。既存のメンバーから招待状メールを受け取ることで参加できる。社内LANからしかアクセスできず、参加者は名前と部署名を公開するルールだ。

 SNSサイトは、日記や趣味のコミュニティーでの書き込みという楽しさを伴うものだが、経営陣やIT部門からクレームが来たことはない。「業務時間中にタバコを吸ったり、雑談をしたりすることはある。それと同じではないか。書き込みは昼休みや夕方以降に多い」(山本課長)。社員の良識を信じた運営となっている。

 実はSatiは1年半前の立ち上げ当時から、全社的な情報インフラにまで育った現在も山本課長ら有志数人で運営されている。「余っていたサーバーを使っているのでコストはほとんどかかっていない。運営上のトラブルも社内でのSNSだから今のところ何もない」(同課長)。草の根的に始まった取り組みが巨大な組織の情報共有を支えている。