小田原市役所は4月16日,FAQ(Frequently Asked Question)システム『「スッキリ解決!よくある質問と回答」コーナー』を稼働した。システムは,オウケイウェイヴがASPサービスとして提供している「OKWave Quick-A」を利用している。

 このシステムの機能は大きく二つ。一つは,市役所に多く寄せられる質問や問い合わせと,それに対する回答をWebページ上に表示する機能。もう一つは,FAQシステムを通じて市民から寄せられる問い合わせ履歴とその回答履歴を,一元管理する機能だ。市民が自ら欲しい情報を探せるようにすることで,電話で問い合わせたり,市役所に出向いて質問したりする手間を省くことを目的としている。

 プロジェクトを開始したのは2006年12月。FAQシステムの開発プロジェクトで最も苦労したのが,FAQをどのように作成して,FAQをどのようなカテゴリで分類するかだった。FAQに不足があっては,市民のニーズに応えられない。また,カテゴリが分かりづらいと市民が欲しい情報にアクセスできない。しかも,この作業に与えられた時間は2007年1月の1カ月しかなかった。

 FAQ作成作業を取りまとめていた小田原市 広報広聴室の早野智洋氏は,「時間がない中で,不足のないFAQをどう作成するか相当悩んだ」と語る。解決策として早野氏は,ほかの自治体が公開しているFAQをたたき台にすることにした。集めたFAQは約1000件。これを関係する課に振り分け,小田原市に合う形で質問と回答,関連URLを記述してもらうことにした。

 各課に記述してもらったFAQを集めたところ,多くの修正が必要だった。例えば,FAQシステムが備える検索エンジンにヒットさせるための検索キーワードが不十分だった。小田原市では学童保育のことを「放課後児童クラブ」と表記するが,市民は「学童保育」で検索するために,これをキーワードで登録する必要があるといった具合だ。

 また,行政用語の使い過ぎで市民にとって分かりにくい表現になっているものを修正しなければならなかった。例えば,「家族介護用品支給事業について教えてください」という質問は,「高齢者の紙おむつ等を支給する制度があると聞いたのですが」にあらためた。