eヤマハ室の長谷川豊室長
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 ヤマハがイントラブログとWiki(ウィキ)を社内での情報共有に生かしている。

 これらを導入し、社内での普及を図っているのはeヤマハ室。同社のウェブサイトを統括したり、インターネットを使った戦略を企画したりする部署だ。

 ヤマハでは1990年代後半からイントラネットやメーリングリスト、掲示板などを導入してきた。2002年にはQ&Aコミュニティを立ち上げ、社員同士で情報の共有を図るなどもしたが定着はしなかったという。eヤマハ室の長谷川豊室長は、「イントラネットは更新に手間がかかるので更新頻度が低かった」と振り返る。更新がされなければ当然社員は見なくなる。

 ブログの利点は更新作業が簡単であり、複数の社員が編集できることだ。HTMLの知識も不要だ。現在、eヤマハ室から事業部門への情報発信に利用されている。「従来より情報の発信が3倍くらいは楽になったのではないか」と長谷川室長は考えている。

 ただし社員一人ひとりが日記をつけるといったブログの使い方には疑問を呈している。「業務としての必然性がないと続かない」(長谷川室長)からだ。社内向けに個人で日記をつけているのは長谷川室長ぐらいだという。

 全社的に業務についての知識やノウハウを蓄積するために利用しているのがWikiだ。これはウェブベースのコンテンツ管理システムの一種。簡単な操作で誰でも自由にウェブページを追加できるほか、作成したウェブページを自分やほかの人が後で修正することもできる。

 ヤマハがwikiを導入したのは2005年末。当初は一部の社員のみにしか使われなかったが、昨年5月に運用の基本的なルールを設けてからは多くの社員が記事の執筆に参加している。従来はメモを基に文章が起こされてデータで保管されたりメーリングリストで社内配信されていたが、会議参加者が直接Wikiに書き込んでいる。

 ヤマハは社外の顧客向けのサービスにもブログを利用している。音楽愛好者向けのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイト「プレイヤーズ王国」も人気だ。「こうした顧客接点を通じた情報を社内でブログなどを使って共有し、さらなるサービスの向上につなげていく」と長谷川室長は意気込んでいる。