三井住友カード(東京都港区)は4月下旬からクレジットカード入会申し込み書のデータ入力作業の一部を、在宅で働く障害者に委託する。入力作業は個人情報を扱うため、従来は在宅の作業に向かなかったが、1件ごとの情報を分割して複数の人間で入力することで、カード申込者の個人情報を特定できない仕組みにしている。
 
 「イメージ分割/分散インターネットエントリーシステム」と呼ばれるその仕組みを運用しているのは、e-ワークスネット(千葉県船橋市)。インターネットを利用した障害者の在宅就業の支援を手がけている。

 新しい入力作業の工程では、データ運用を手がけるジェイス(東京都文京区)がまず入会申込書をスキャニングする。次にスキャンされた画像データを分割する。この際、情報を細切れにすることで個人情報の特定を不可能にするのが特徴だ。例えば、電話番号は市外局番と下4桁に、勤務先は名称と番地に、支払い口座の銀行は銀行名と支店名に、と分割してしまう。

 e-ワークスネットに登録している作業者は、自宅や福祉施設のパソコンでファイルサーバーへアクセスし、専用ソフトを使ってデータを入力、そしてジェイスのサーバーへ送り返す。情報を分割したサーバーが再び入力されたデータを結合させて個人データを完成させる。e-ワークスネットに登録しているのは80人。登録者は24時間いつでも好きな時間に自分のペースで作業ができる。

 三井住友カードでは入会申し込み件数が毎年5~6%ずつ伸びており、「このままでは入力作業の体制を見直したり、新たな出費も考えたりしなければならなかった。業務を通じてCSR(企業の社会的責任)も果たせる」と経営企画部は話している。