インターネット上で衣料品や雑貨などの取引仲介サービスを手掛けるラクーンは2007年2月末に,会員企業が利用する独自のWebメール・システムを開発した。商品の売り手と買い手が商品の問い合わせ・返答や条件交渉などを行う用途に特化して,使い勝手を高めたのが特徴。例えば,買い手が商品情報のWebページからこのメール機能を呼び出すと,メールの本文に問い合わせ商品のIDが自動挿入される。また受信したメールごとに,「この値引き要求への返答は○○部長の判断待ちで,ペンディングになっています」といった売り手・買い手の社内連絡用メモを記入できる。

 新システムは,ライトウェイト言語「PHP」のオープンソース・フレームワークである「ZEND Framework」の改変版を利用し,オブジェクト指向型で自社開発した。開発工数は1人月。ラクーンが従来行っていたPHPによる手続き型の開発では,プログラムのデバッグや改修の効率が悪かった。オブジェクト指向開発にしたことでこの問題が解消され,「開発効率は倍以上になった」(技術戦略部 田中友和氏)という。

 ZEND Frameworkの改変版を用いたのは,「ZEND FrameworkはPHPのフレームワークとして本命視されているが,正式版が発表されておらず,安定性に不安が残っていたため」(田中氏)。そこでフレームワークのうち「Model」の部分は使わず,「View」と「Controller」に相当する部分を切り出して使用した。

 顧客管理や商品管理などラクーンの社内Webシステムの大半は,PHPによって手続き型で開発したもの。今後Zend Frameworkの正式版のリリースを待って,オブジェクト指向型に順次,移行していく計画である。