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事例データベース

名古屋掖済会病院
電子カルテを中核に病診連携や大規模災害対策を推進

中道 理=日経コミュニケーション 2007/04/11 日経コミュニケーション
出典:日経コミュニケーション 2007年3月1日号84ページより
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
目次一覧

 名古屋西部地域の中核病院に位置付けられる名古屋掖済会(えきさいかい)病院。2005年に電子カルテ・システムを導入し,院内での効率化を実現した。さらに電子カルテの一部情報を周囲の診療所と共有することで,診療所との関係を緊密化。医療サービスの質向上を図っている。大規模災害に備え,電子カルテと位置情報を連動させる試みも2005年末から始めている。

場所を選ばずカルテにアクセス

 中核である「電子カルテ・システム」は,2002年に導入した「オーダリング・システム」が前身になっている。オーダリング・システムとは,処方せんや検査の発注を電子データでやり取りするものだ。電子カルテでは,患者の情報を中心に据え,画像や医師の所見など各種データを関係付けた(図1)。

図1●名古屋掖済会病院の電子カルテ・システム
図1●名古屋掖済会病院の電子カルテ・システム
医師の所見や画像データなど,患者に関するすべての情報を電子カルテで一元管理。院内のほか,提携先の診療所とも一部のデータを共有している。
[画像のクリックで拡大表示]

 このシステムによって,医師は院内のどの場所にいても,患者に関しての情報が得られるようになった。院内には有線LANと無線LANが張り巡らされており,パソコンを使ってどこからでも患者の情報にアクセスできる。

 実際,現場では回診のとき,医師や看護師が必ずノート・パソコンを携帯し,体温や血圧,投薬,所見などを入力している。後から状況の変化を時系列で表示でき,より深く病状を把握できるようになった。

呼び出しを電子カルテと連動

 さらに2006年4月には,「中待合い」を廃止したのに伴い,電子カルテと待合いシステムを連動させた。患者のプライバシーの確保と,診察業務の効率化が狙いだ。

 中待合いとは,診療科ごとに用意される待合いスペースのこと。診療室と中待合いは薄い壁などで区切られていることが多く,医師と患者の会話が漏れる可能性があり,プライバシー上の問題があった。ただ,中待合いを廃止すると居場所が分からない患者の呼び出しなどで事務効率が低下する。

 そこで待合いフロアーに大型ディスプレイを置き,番号と音声で呼び出すようにした。呼び出しは,医師が電子カルテを開く操作に連動。他科で診察中や検査中の場合は,ほかの患者を先に呼び出す仕組みも用意した。

診療所と「エキサイネット」を結ぶ

 電子カルテの利用範囲は院内だけにとどまらない。2002年からは,ネットワークを介してオーダリング・システムの一部機能を周囲の診療所に公開。Webブラウザを使って検査予約や各種情報閲覧が可能な「エキサイネット」を構築した。現在では,電子カルテと連動し,紹介患者の投薬情報や各種検査結果,CT/MRIなどの画像,内視鏡の動画を専門医の所見付きで閲覧可能だ。診療所側での投薬情報や検査結果もアップロード可能になっている。

 エキサイネットを提供しているのは,患者を病院と診療所の両方でサポートする「病診連携」に力を入れているからだ。日常的な診察は自宅に近い診療所で受け,重い症状の処置や入院,高価な機器での検査などは名古屋掖済会病院が実施する。

 システムの進化に合わせてネットワークも改良している。当初は,ダイアルアップで各診療所から接続していたが,RAS(リモート・アクセス)型VPN(仮想閉域網),SSL VPNへと進化させた。特にSSL VPNにしたのは使い勝手を向上させるため。診療所の医師は高齢者が多く,簡単な操作で使える必要があった。そこでUSBトークンを採用。パソコンに挿し込み,PIN(個人認証番号)を入力するだけでWebブラウザが開き,エキサイネットのログオン画面が表示される。

 現在,診療所の医師約80人のほか,院内の医師約50人が利用している。特に院内の医師の場合,深夜に運ばれてきた救急患者の検査結果を自宅で確認し,病院に駆けつける前に初期対処や治療の準備についての指示することで迅速な救急医療が可能になった。

位置情報とカルテを連携

 同病院では,さらにシステムを一歩進めて,電子カルテを大規模災害時に使うことを検討している。既に,2005年末と2006年末に大規模な実験を行い,その効果を検証した。「大規模災害時に問題になるのは,情報の錯綜(さくそう)。紙の運用では情報が分散してしまうが,電子カルテで一元化できればこうした問題を解決できる」(情報管理部情報管理センターの奥村幸光センター長)。

 情報の一元化によって例えば,「どういう状態の患者が何人運ばれてきたのか」,「どのような診療行為がなされたか」といった情報がすぐに分かり,効率的に患者を治療できる。

 このシステムで特に先進的なのは,電子カルテと患者の位置情報を連動させている点だ。医師が症状の重さやカルテ番号などをキーにして患者の位置を把握できるほか,病院に駆け付けてきた家族に患者の位置・状態情報を提供するために利用される(写真1)。

写真1●傷病者情報集約システムの画面例
写真1●傷病者情報集約システムの画面例
位置情報と電子カルテを連携。家族が駆け付けてきたとき,病院に運ばれてきた人がどこにいるかをすぐに確認できるようにする。

 災害時,家族の問い合わせ対応に職員が時間をとられ,現場が混乱するケースは少なくない。位置情報の提供によってこれを解消できるという。

 患者の位置測定には米エカハウが開発した無線LANタグを使用した(写真2)。このタグがサーバーに対して,周囲のアクセス・ポイントのSSIDと信号強度を送信し,三角測量の要領で位置を割り出す。このタグを利用したのは,院内に既に無線LANが張り巡らされており,低コストで導入できたためである。

写真2●位置情報を取得する無線LANタグ
写真2●位置情報を取得する無線LANタグ
米エカハウ社の製品。既存の無線LANアクセス・ポイントを利用して位置測定ができる。大規模災害訓練では,実際に腕などに装着して患者の位置を特定した

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