玩具のインターネット販売などを手がけるバンダイネットワークスは、1年前の2006年3月にキャラクターポータルサイト「ララビット」の顧客データベース(DB)を廃棄、新システムへ移行した。会員数は以前より2割ほど増え、男女の構成比率も変化した。システムの構築を指揮したコンテンツ事業部の景山均マネージャーは「ようやくDBに情報がたまってきた。これから本格的な分析に取り組んでいきたい」と話す。

 以前のシステムでは、商品の購入を希望する会員はララビットに登録していてもそれとは別に通販サイト「ララビットマーケット」に同じ情報を登録する必要があった。そのため、注文の際に煩わしい入力を避けてゲストとして購入する顧客が多かった。ゲストとしての購買では、性別や年齢といったマーケティングに欠かせない情報が欠けるため、分析に生かせなかった。

 また従来のシステムでは、携帯電話版とパソコン版のサイトのそれぞれでコンテンツを管理するデータベースが異なっていたため、商品情報の更新などの作業が二度手間になっていた。そこでアイティフォーが提供するEC(電子商取引)サイト専用パッケージ「ITFOReC(アイティフォレック)」を導入し、システムを作り直すことにした。従来は、会員に対してアルファベットをランダムに組み合わせたIDを割り当てていたが、当然覚えづらい。本人のメールアドレスをIDとして使える仕組みに作り変えたいという事情もあった。

 こうして1999年2月から少しずつ増やしてきた数万人の会員は一度ゼロになった。直近の1年間は、会員登録しないと購入できない商品を発売したり、期間限定のキャンペーンを打つなどして新規会員の獲得に力を尽くした。

 その結果、1年前より2割程度会員の数は増えた。また登録や購入の手続きを簡略化したので、顧客における会員の比率は以前の10数%から60%ほどに増えた。意図したわけではなかったというが、会員の男女比は「9:1」から「7:3」へと様変わり。今後の商品政策にも影響を与えそうだ。

 景山マネージャーは「ほかのECサイトの担当者にも話をする機会はあるが、システム刷新の際に情報を捨て去る事例はなかった。多少の不安はあったが、ララビットマーケットでしか買えない独自商品が多い。会員には戻ってきてもらえると信じていた」と語る。