世界最大の航空・宇宙機器メーカーである米ボーイング。事業の性格上、同社は常にサイバー攻撃を受けているが、堅牢なセキュリティシステムを構築し、月40万件近くのコンピューターウイルスの侵入をブロックしているという。世界最高水準とされるセキュリティシステムの構築・運用ノウハウを生かし、サイバーセキュリティソリューション事業を手掛ける。米国では国防総省をはじめとする政府機関に、日本でも官公庁や大企業などへのソリューション提供実績がある。ボーイングのセキュリティソリューション事業を統括するデューイ・フック氏に事業の状況を聞いた。
ボーイングがサイバーセキュリティソリューション事業に乗り出した理由は何ですか。
フック 手掛ける事業の性格上、非常に機密性の高いデータを業務で扱っています。このため我々は、社内に世界最高水準のセキュリティシステムを構築し、運用しています。ここで培ったノウハウは、高度なセキュリティシステムが必要な政府や大手企業からの需要が高いと考え、ソリューション事業として開始したわけです。
ボーイングの主力ビジネスは、ご存知のとおり航空・宇宙機器事業であることに変わりはありません。民間機に加え、軍用機、ミサイル、宇宙機器などの研究開発・設計製造を手掛けていますが、新たな事業領域を開拓することは、将来の成長にとって重要なことです。その1つとしてサイバーセキュリティソリューションの事業に乗り出したのです。
サイバーセキュリティソリューション事業の規模は。
フック セキュリティに関する知識を備えたコンサルタントや営業担当者、エンジニアなど約1000人のスタッフで事業を手掛けています。
業績も着実に伸びています。サーバーセキュリティソリューション事業は、主力事業の規模には及びませんが、売り上げは年間5%ずつ増えています。今後も堅調に成長していくと見ています。
セキュリティソリューションを提供するIT企業は多いわけですが、ボーイングの強みは何ですか。
フック 高度なセキュリティシステムを設計、開発、運用するトータルソリューションを提供できる点です。セキュリティソフトだけを売るとか、セキュリティシステムを開発して終わりというのではありません。堅牢なセキュリティシステムを構築・運用するためのノウハウをコンサルティングサービスとして提供することが強みです。