写真●クラウド戦略を説明したNTTコミュニケーションズの有馬彰社長
写真●クラウド戦略を説明したNTTコミュニケーションズの有馬彰社長
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 NTTコミュニケーションズは2014年4月15日、クラウド事業の現状と今後の戦略を説明する記者会見を開催した。同社の主力IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)「BizホスティングCloudn」の提供料金を14年5月1日から最大31%値下げしたり、年内に投入する企業向けの高機能の付加サービスを明らかにしたりするなど、価格や機能で米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)に対抗する競争力強化策を具体的に打ち出した。

 会見で登壇した有馬彰社長は、「BizホスティングCloudn」「BizホスティングEnterprise Cloud」の顧客企業数が、2013年度で4900件と前年度の2400件からほぼ倍増したと説明(写真)。通信事業者ならではの高品質や高信頼性などを備えた「キャリアクラウド」の強みを訴求しながら顧客を増やしていく考え方を強調した。

 データセンターとクラウド事業の売上高は「2015年度に2000億円以上の売り上げを達成する」として従来計画を変えなかった。2012年度の売上高実績は960億円で、決算作業中の2013年度も含めて毎年300億円以上の増収が必要になる。

 有馬社長は、先行するAWSが「早いペースで次々と関連サービスを投入し、価格面でも優位にあった」と認めた上で、自社サービスの競争力を高める施策を説明した。具体的には、「Enterprise Cloud」の付加サービスとして2014年中にクラウドの運用管理などに使えるAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)や新型のストレージサービスを投入するなど、多様な高機能サービスを投入することを発表した。

 APIは14年6月に提供する計画で、運用管理の操作をプログラムから制御することでユーザー企業が運用の自動化を進めやすくなる。新型のストレージは「IOPS確保型ストレージ」と呼び、ファイルの読み書きなど入出力性能を確保するもの。14年10~12月期の投入を予定する。

 このほかに、クラウド上にデータなどの自動リカバリー機能を備えたサービス「RaaS(リカバリー・アズ・ア・サービス)」を14年12月に、独SAPのアプリケーションに対応した高機能ストレージを14年6月に投入するなど、合わせて九つの新機能の提供を公表した。

 またCloudnは5月1日からの値下げを発表し、AWSなどに対抗できる価格競争力を備えたとした。低価格の「Compute プランV2」で提供料金が月額7200円から同6200円と13.9%の値下げ。値下げ率が最も大きいメニューの一つ「Relational Database プランvDB2」は月額1万2400円が8500円と31.5%の値下げになる。

 クラウド関連企業の買収などに伴う、グローバルでの提供体制の刷新に取り組んでいることも説明した。「ファクトリーモデル」と呼んでおり、Arcstar Universal Oneなどのネットワークサービスは米バーテラ・テクノロジー・サービスがインドのムンバイ市などに持つセンターに、グローバル向けのオペレーションを集約。「NTTコムなどより自動化が進んでおり、必要な運用技術者の人員は半分になる」(有馬社長)という。