ファーストリテイリング傘下でユニクロに次ぐ経営の柱となったジーユー。「スマートフォンが顧客との関係を劇的に変えた」と語る柚木治社長は約1000万人に達したモバイル会員を基盤に「O2O(オンライン・ツー・オフライン)」戦略を推進する。

(聞き手は吉田 琢也=日経コンピュータ 編集長)

2014年8月期には売上高1000億円の大台突破という節目を迎えそうです。この規模に成長したジーユーをどう経営していくか、基本的な考え方を教えてください。

柚木 治(ゆのき おさむ)氏
1988年一橋大学卒業後、伊藤忠商事入社。99年GEキャピタル・コーポレーション入社。同12月ファーストリテイリング入社。02年「ユニクロ野菜」を販売するエフアール・フーズ代表取締役社長。04年ファーストリテイリング執行役員。07年ユニクロ執行役員。10年ジーユーの前身であるGOVリテイリング代表取締役社長。11年ジーユー代表取締役社長に就任。(写真:木村 輝)

 1000億円を超えようとも、我々はベンチャー精神を持ち続けたいと考えています。そのために注力することが二つあります。一つは、今までの成功体験を壊しながら、新しいことにどんどんチャレンジしていく。もう一つは、そうは言っても店舗数が200店を超えて大きくなってきた会社にどれだけ“神経”を通わせられるか。二つの両立が大切です。

 チャレンジは多方面に及びます。商品はベーシック衣料からファッション性の高い衣料に比重を移しています。お店もこれまでは国内だけだったのが、海外にも出ていく。マーケティングについても、従来はチラシの販促が中心だったものをモバイルへの情報配信に変える。全領域で新しいことを取り入れていきます。