端末から通信料金までセットで月2000円という低料金のMVNO(仮想移動体通信事業者)サービス「freebit mobile」を開始したフリービット。端末も自社開発という、これまでのMVNOにはない垂直統合モデルで勝負を挑む。石田社長に狙いや勝算を聞いた。

(聞き手は加藤 雅浩=日経コミュニケーション編集長)

2013年11月に「freebit mobile」を開始してから2カ月あまりが経過した。出足はどうか。

石田 宏樹氏
石田 宏樹氏(Atsuki Ishida)
1972年生まれ。佐賀県出身。慶應義塾大学総合政策学部卒。1998年、ドリーム・トレイン・インターネット設立に参画。「顧客満足度No.1プロバイダ」に導き、NASDAQ Japanに上場。2000年、フリービットを設立。2007年、東証マザーズ上場。特許技術を礎にユーザー端末まで含めた"スマートなインフラ環境"をマルチレイヤーで提供することで、インターネット社会の発展を目指す。休日は1人でじっくりと事業戦略を練るための個人合宿を行ったり、読書をしたりして過ごす。
(写真:新関 雅士)

 想定していた範囲内の最も良いペースで推移している。福岡市にオープンした実店舗「ATELIER」の来場者も順調に増えている。実店鋪ではオンラインと比べて女性比率と高齢者比率がそれぞれ10%ほど高い。

経緯を知りたい。

 大手携帯電話事業者からは、ユーザーが手頃なスマホ体験を得られるような端末/サービスは登場していない。月6000円から8000円もの費用がかかり、6割の人がスマホ料金が高いと感じている。それなら自ら「ちょうどいい」スマホ体験を得られるサービスを作ろう、と思ったのがきっかけだ。

 今回、Android端末「PandA」まで含めた垂直統合モデルでサービスを開発したのには、大きく2つの理由がある。一つは切れ目のないユーザー体験を作りたかったから。もう一つは垂直統合によって中間マージンを省けると考えたからだ。