日本になぜグーグルのような会社ができないのか――。

 古くはマイクロソフト、最近ではグーグル、フェイスブックなど、アメリカではテクノロジーに強みを持つ企業が多数登場している。日本でも、LINEなどの世界的に影響を与える会社が登場しつつあるとはいえ、アメリカに比べれば圧倒的に数が少ない。

 この理由として、日本人は新しいことにチャレンジしたがらない、ベンチャーキャピタルなどの投資環境が整っていない、前例主義や過去の実績を重視するのでベンチャー企業の製品やサービスを敬遠しがち、などがよく挙げられる。

 だが、「日本ではエンジニアが評価されない」ことが、大きな阻害要因になっているのではないかと、ギノの片山良平CEOは指摘する。

 ギノは、ITエンジニア(システムエンジニア)に実際にプログラム(コード)を書いてもらって技術を評価するサービス「paiza」(パイザ)を2013年10月に開始したベンチャー企業。これまでのエンジニアの転職では、プログラムを書けるエンジニアを採用したいのに、プログラムを実際に書いてもらって評価することが行われていなかった。これをウェブ上で実現したのがpaizaだ。

 今回は片山社長に、日本のITエンジニアの現状や日米の違いについて話を聞いた。従来のITは企業のコスト削減の手段の1つでしかなかったが、ここ数年、ITやウェブがビジネスの中核に組み込まれつつあるなかで、エンジニアの役割も変わりつつあるという。

(聞き手は小野口 哲)

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ギノの片山良平CEO。2013年10月に、 IT/ウェブエンジニアのための転職サイト「paiza」(パイザ)を開始した。ウェブサイトで実際に、プログラム(コード)を書いて、技術レベルを測ることができる(写真は菊池くらげ、以下同)

片山さんは、日本のITエンジニアが軽視されている、地位が低いことを懸念されているそうですね。

片山:以前から、グーグルやフェイスブックのような会社が、何で日本から生まれてこないのかと、思っていたのです。

 私も以前、プログラムを書いたり、プロジェクトマネジャーをやったりしていたのですが、その当時、システム構築プロジェクトがうまくいかずに炎上することが多かったのです。そんなとき、会社の上の人たちの方針は、「エンジニアは必要なときだけ調達をしてきて使えばいい」というものなのです。

 “ただ作るだけ”の製造プロセスの人というふうにエンジニアは見られていたわけです。すごく軽視されている風潮があったんですよ。

 じゃあ、うまくいかなかったり、遅れたりするプロジェクトに、急にエンジニアを追加投入するとどうなるかというと、うまく回らないで炎上するんです。もっと上流から見ないとうまくいかないというのは、自分自身がエンジニアだったので分かっていたんですけど、何度繰り返しても、学習せずに毎回炎上するわけです。