オフショア開発の受入国として、注目を集める国の一つがベトナムだ。注目を集める理由の一つは、国を挙げてIT産業の振興や人材育成に取り組んでいることがある。その実力とオフショア開発における留意点などを、現地ソフトウエア開発大手であるFPT会長のチュオン・ザー・ビン氏に聞いた。

(聞き手は菊池 隆裕=日経BPイノベーションICT研究所


オフショア開発の拠点として、ベトナムを選ぶ企業が増えています。オフショア開発の受け皿として、ベトナムはどれくらいのポテンシャルがあるのでしょうか。

写真●ベトナムFPT会長のチュオン・ザー・ビン氏
写真●ベトナムFPT会長のチュオン・ザー・ビン氏

 2012年におけるインターネット加入者数は3130万人です。2000年度と比べると、15倍もの規模に成長しました。これは、人口比で言うと35.26%に相当します。

 また、ITU(国際通信連合)が定めるICT発展指数(IDI:ICT Development Index)でみると、ベトナムは161カ国中81位となっています。前年は86位でしたから着実に上昇しています。世界経済フォーラム(WEF)のITネットワーク度(Network Readiness Index)では55位。東南アジアでは5位につけています。

 オフショアサービスについては、A.T.Kearneyの2011年ランキングでオフショアサービスの分野で8位でした。Gartnerによれば、ベトナムのアウトソーシングサービスは世界のトップ30入りを果たしています。Tholonsによる都市別の調査では、2013年のトップ100アウトソーシング拠点中、ホーチミンは16位、ハノイは23位となりました。

 オフショアサービスを支えるのは、優れた人材です。教育システム、数学と科学分野の教育、識字率、中学の進学率などの指数に基づいたWEFのICT人材ランキングでは、ベトナムは144カ国のうち58位となっています。ICT教育を施している大学・短大数は290校に上り、2012年度の全進学者数の10.83%を占めています。2012年度のICT大学・短大の卒業生は4万人強。入学者数は5万8000人です。ICT教育の高専数は143校。現在、就学者数は約17万人となっています。