航空業界で「航空事故の原因の7~8割はパイロットのヒューマンエラー」とされる例を持ちだすまでもなく、システム運用がどんなにハイテク化してもヒューマンエラーが大きなリスク要因であることに変わりはない。2011年3月に起きたみずほ銀行の大規模システム障害でヒューマンエラーが絡んでいた(関連記事)ことをご記憶の方も多いだろう。

 ヒューマンエラー防止を指導しているコンサルタントの目に、システム運用現場の姿はどう映っているのか。なぜなぜ分析による改善活動のコンサルタントであり、著作『なぜなぜ分析 実践編/管理編』でも知られるマネジメント・ダイナミクス社長の小倉仁志氏に聞いた。

本題に入る前に、日経情報ストラテジーの連載などで小倉さんを知らない読者のために経歴を少しお伺いします。どのような経緯でなぜなぜ分析に取り組み始めたのですか。

写真●なぜなぜ分析指導を手がける小倉仁志氏
写真●なぜなぜ分析指導を手がける小倉仁志氏
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 社会人になって最初の数年は米デュポン日本法人でエンジニアリングプラスチックスの技術者として営業支援などを行っていました。高機能樹脂とも言われた新素材を売り込むとき、設計や加工条件、金型などのアドバイスもしなければ、ユーザーは買ってくれません。ところが、私は説明の仕方が下手だと言われて、正直説明はあまり得意ではなかったんです。

 なぜなぜに取り組むきっかけとなったのは、ビデオデッキのメーカーに営業したときでした。