産業技術大学院大学はベトナム国家大学と共同で、学生に対するシステム設計手法に関する教育プログラムの実践に取り組んでいる。両大学の学生が、テレビ会議などを通じてやり取りをし、開発を進めるなど“実践型”なのが特徴だ。ベトナムは有力なオフショア開発先だが、手掛けるのは製造・テストといった下流工程が中心。本プロジェクトを通し、上流工程を担える人材の育成を目指す。(聞き手は岡部 一詩=日経コンピュータ)


ベトナム国家大学と共同プログラムを始めたきっかけは。

写真1●産業技術大学院大学の土屋陽介産業技術研究科 情報アーキテクチャ専攻助教
写真1●産業技術大学院大学の土屋陽介産業技術研究科 情報アーキテクチャ専攻助教
[画像のクリックで拡大表示]

土屋:グローバルに活躍できるIT人材が不足しているという課題感が根底にある。そこで、「グローバルPBL(課題解決型教育)」を導入し、日本のグローバル人材を育てることにした。

 一方で、海外の現地学生は非常に勉強熱心だが、実際のものづくりに触れる機会が少ない。グローバルPBLを通して、実践的な教育機会を設けることも狙いの一つだ。

 プログラムの内容は、日本の学生が海外の学生をマネジメントしつつ、一緒にシステム開発に取り組むというもの。ベトナム国家大学とは2008年度に共同で実証実験をし、2009年度に連携協定を締結した。

 当時は中国へのオフショア開発が盛んだったが、中国ばかりに頼っているわけにはいかない。そこでベトナムが良いということになった。