2014年4月、「Windows XP」と同時に「Office 2003」のサポートも終了する。Officeのリプレースを機会に、クラウドサービスである「Office 365」への移行を視野に入れる企業も多いという。そうした企業に応えるべくマイクロソフトは、Office 365の機能強化を図っている。米マイクロソフトのコーポレート バイスプレジデントでOfficeマーケティング部門の責任者を務めるジョン・ケース氏に、Office 365の強化ポイントとその目的、そして今後の戦略について聞いた。

(聞き手は鈴木恭子=ライター)

一般ユーザーの「セルフデータ分析」を支援

Office 365はリリースから2年半が経過した。企業の導入状況を聞かせてほしい。

写真1●米マイクロソフト コーポレート バイスプレジデント Officeマーケティング部門責任者ジョン・ケース氏
写真1●米マイクロソフト コーポレート バイスプレジデント Officeマーケティング部門責任者ジョン・ケース氏
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 米国では「フォーチュン500」の企業のうち60%が、過去12カ月以内にOffice 365を導入した。また、日本においても、京急建設や日本航空、ヤマハといった大規模企業を含む「日経225銘柄(日経平均株価指数)」企業の60%がOffice 365を導入している。導入スピードは、加速していると言ってよいだろう。

Office 365は「Office」「Exchange」「Lync」といったソフトウェアをSaaS(Software as a Service)として提供しているが、同時にオンプレミスの「Office 2013」も販売している。今後はすべてのOffice製品がクラウド環境に集約されるのか。

 その可能性はない。われわれは顧客の環境に合わせ、複数の選択肢を提供している。クラウドであれ、オンプレミスであれ提供形態が異なるだけであり、それぞれに優位性がある。Officeで作成されたドキュメントはユーザーに紐付いており、それはどのような環境でも変わることはない。

 クラウドサービスであるOffice 365の優位性は、迅速な機能強化の実現と管理コストの削減だ。エンドユーザーは修正プログラム(セキュリティパッチ)を適用したり、「Microsoft Update」を実行したりする必要がない。企業――特にIT管理部門がない中堅・小規模企業――の場合、こうしたアップデートはエンドユーザーが行っているが、適切に実行されない場合もある。Office 365を導入すれば、こうした課題を解決すると同時に、常に最新の機能を利用できる。

Office 365の機能強化ポイントについて教えてほしい。

 2013年2月にOffice 365を刷新した際には、100以上の機能強化を図ったが、特筆すべきは「Power BI for Office 365」(プレビュー版)とエンタープライズSNS(Social Networking Service)である「Yammer」の統合だ。