首都圏でLPガス(プロパンガス)と都市ガスを手掛ける日本瓦斯。LPガスでは業界大手で、他社の営業エリアに攻め込むなど積極的に事業を拡大してきた。電力・ガスをまたぐ規制緩和を間近に控えた今、米国の有力ファンドの出資も得て業界再編へと動き出す。そのための武器は、独自に構築したクラウドだ。和田眞治社長にその戦略を聞いた。

(聞き手は木村 岳史=日経コンピュータ 編集委員)

電力では2016年に小売りが自由化されますが、ガス業界の規制緩和も進みそうですね。

和田 眞治(わだ・しんじ)
1977年3月に成城大学経済学部経済学科を卒業。90年12月に日本瓦斯に入社。96年6月に営業部長兼西関東支店長。97年6月に取締役、2000年6月に常務取締役に就任。03年1月に常務取締役営業本部長、04年6月に専務取締役営業本部長。05年6月に営業本部長兼務のまま代表取締役社長に就任(現任)。1952年4月生まれの61歳。(写真:陶山 勉)

 東日本大震災以降、エネルギー自由化の議論が活発になっており、2016年をメドにガスも含めエネルギー産業全体で、規制緩和の動きがいろいろと出てくるはずです。我々の業界では多くの企業が自由化を先送りしたいと思っているようですが、私は“異次元の”規制緩和になることを覚悟して対応すべきだと考えています。

 海外を見ても、自由化へと動かすのは消費者のニーズです。民意を無視した自由化の制度設計はあり得ないでしょう。

 つまり、電力事業にガス会社などの異業種が参入するだけでなく、電力会社もガス事業に参入し、電気とガスの両方を売るようになるはずです。ですから、競争が無く細分化されたガス業界が集約化に向わなければならないのは、議論の余地がありません。