モバイルネットワークの構築にかかる時間やコスト、運用の手間を減らす手段として、今注目を集めているのが「NFV」(Network Functions Virtualisation)である。大手ベンダーから、LTEのコアネットワークである「EPC」(Evolved Packet Core)を仮想化した製品が登場している。しかし、それらは本来のNFVの姿ではないと異を唱えるのが、2011年2月に創業したベンチャー企業の米コネクテム(Connectem)だ。

 2013年10月31日、同社とマクニカネットワークスは販売代理店契約を締結、国内での製品発売を開始したと発表した。これに合わせて来日したコネクテムのCo-Founder、VP of Sales and Marketingのバリー・ヒル氏に話を聞いた。

(聞き手は高橋 健太郎=日経コミュニケーション


どのような製品を提供するのか。

米コネクテムのCo-Founder、VP of Sales and Marketingのバリー・ヒル氏
米コネクテムのCo-Founder、VP of Sales and Marketingのバリー・ヒル氏
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 当社が提供するのは「VCM」(Virtual Core for Mobile)。これは、LTEのコアネットワーク「EPC」(Evolved Packet Core)を仮想化し、汎用のx86サーバー上で提供するソフトウエアだ。

 現在、モバイルのコアネットワークは専業ベンダーが作るプロプラエタリーな専用ハードウエアで構築されている。本当に限られた数のベンダーによって牛耳られており、彼らが巨大な市場を支配している。こうした状況に対し、我々の技術は既存のモバイルコアネットワークに革新を起こせると信じている。

そうしたベンダーも、EPCを仮想化するNFVに取り組んでいる。

 「NFV」という言葉自体、2012年に登場した非常に新しい用語だ。ETSIが2012年10月に出したNFVのホワイトペーパーで初出したものだ。しかし、我々は、これとほぼ同じ概念を実現する製品の開発をその1年半前の2011年2月から進めてきた。

 ETSIのホワイトペーパーがリリースされた2012年の段階では、ETSIのワーキンググループへの参加ベンダーは20社程度。そのベンダーも「そんなに簡単にできない」「2016年、2017年ぐらいになるまでできないだろう」と主張していた。しかし、我々は、2012年末に商用ネットワークでのトライアルに成功している。