2013年10月4日、ソーシャルメディア分析のホットリンクと、ソーシャルデータ提供の最大手である米グニップは、TwitterやFoursquare、WordPressといったソーシャルデータに関する日本における独占販売の代理店契約を結んだ。グニップの強みは、過去の全ツイートデータを提供できる点や複数のソーシャルデータを手掛ける点にある。来日した同社の責任者に、今後の戦略を聞いた。

(聞き手は岡部 一詩=日経コンピュータ

事業の内容と主な顧客は。

写真1●米グニップの事業開発部長 セス・マグワイヤ氏
写真1●米グニップの事業開発部長 セス・マグワイヤ氏
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マグワイヤ氏:ソーシャルデータの提供サービス、それが当社の事業だ。今やTwitterのつぶやき情報は、企業にとって欠かせないものになっている。当社は2006年からの全ての言語、全ての過去データを提供できる。現在、同様のサービスを展開できるのは、当社を含めて世界で2社だけだ。

 1分間のツイート数がたった6件だった時代から、米ツイッターにアクセスしていた。長期間築き上げてきた信頼関係が、これを可能にしていると考えている。

 手掛けるソーシャルデータは、Twitterだけではない。FoursquareやWordPressといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)運営事業者7社と独占契約を締結している。

 当社がソーシャルデータの提供サービスを始めて5年になる。ソーシャルデータのモニタリングツールを提供する世界のトップ9社の内、8社を顧客に抱えている。ほかにも、米IBMや米アドビ システムズなどにサービスを提供している。

強みは。

マグワイヤ氏:二つある。一つは、複数のSNSを手掛けていることだ。当社では「ソーシャルカクテル」と呼んでいるが、性質の異なるソーシャルデータを掛け合わせることで、より多くの価値を生み出すことができる。

 一つモデルケースを挙げよう。モバイルキャリアが、ユーザーの解約防止に生かす例だ。Twitterのつぶやき情報から、あるユーザーが通信環境に満足しているかどうかを分析する。それに、Foursquareによるモバイルショップへのチェックイン情報を掛け合わせる。

 通信環境への不満を持っているユーザーが、他社のモバイルショップにチェックインしていたら、解約の危険性が高い。早めに手を打つ必要があることが分かる。

 もう一つは、Twitterの全ての過去データを提供できる点だ。過去の出来事を分析する際は、これは必須だ。もし株価の予測データを得たいと思えば、複数年の過去データの分析が必ず必要になる。

米ツイッター自ら、データ提供ビジネスを始める可能性は。

写真2●米グニップの製品戦略部長 ロブ・ジョンソン氏
写真2●米グニップの製品戦略部長 ロブ・ジョンソン氏
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マグワイヤ氏:当社は、米ツイッターを代弁する立場ではない。ただし、過去の膨大なデータを保管する労力は払いたいとは考えていないのではないか。

 当社のように、Twitterの全データを提供する企業を、これ以上増やすこともないと考えている。つぶやき情報の流通において、当社は既に大事な役割を果たしてきたからだ。

 当社は米ツイッターに代わって、全てのつぶやきデータを米国議会図書館に供給する業務も請け負っている。これは信頼の証でもある。

今後の成長戦略は。

ジョンソン氏:まず、提供地域を拡大していく。当社は31カ国、アジアでは韓国、インド、インドネシアで既にサービスを提供している。このうち、米国外での売り上げが伸びており、5割以上を占める。特に韓国、ブラジル、西ヨーロッパの成長が著しい。

 さらにソーシャルデータ活用の領域が広がっていくだろう。今はマーケティング目的が主流だが、教育や政府向けも伸びている。