仮想化技術/クラウドサービス活用の広がりによって、情報システムの運用現場には、どんな課題が生まれているのか。日立製作所は2013年9月26日に、統合運用管理ツールの新版「JP1 V10.1」の出荷を開始した。製品強化の大きな柱の一つが、仮想化/クラウド環境への対応という。同製品の開発を手掛ける小俣光輝氏は「仮想化/クラウドの活用で、運用現場にはさらなる効率化と運用品質の向上が求められている」と話す。

(聞き手は森重 和春=日経BPシステム運用ナレッジ

仮想化技術やクラウドサービスの活用は、システム運用の現場にどのような影響をもたらしているのか。

日立製作所 統合PF開発本部 ITマネジメント開発1部 部長の 小俣光輝氏

 パブリッククラウドサービスがユーザー企業で本格的に活用されるようになってきた。ただし、パブリッククラウドを使うからといってオンプレミスのシステムやプライベートクラウドがなくなるわけではなく、これらのハイブリッド環境が増えている。

 ハイブリッド化が進めば進むほど、サービス品質を確保するため従来以上に効率的で高品質な運用管理が必要になる。JP1で、こうしたユーザーの課題解決を支援していく。

具体的には、ハイブリッド環境の運用管理でユーザーはどのような課題に直面しているのか。

 仮想化やクラウドを利用するようになると、その基盤上で利用するサーバーの数は格段に増えることが多い。そのうえ、ユーザーが新しいサーバーを求めるスピード感も従来の比ではない。そのとき、物理的な機器の調達は不要になったのに、サーバーの設定を手作業で行っていたのでは、ユーザーの要求に応えられないし、作業のミスも発生する。なんらかの自動化は不可欠だ。

 また、仮想化環境では、それまで1台のサーバーへの影響で済んでいたような障害が、広範囲に影響するようになる。そのため、障害に対するサービスレベルの要求も上がっている。

 一方で、ユーザーの運用現場にはハイブリッド環境の運用ノウハウが不足しており、これも運用負荷を増大させる大きな要因になっている。運用プロセスの改善が不可欠だ。

運用プロセスの改善とは?

 最終的には、自動化して運用業務の効率化と品質向上を実現することが目的になる。だが、大上段に構えて最初からすべてを自動化しようとしてもうまくいかない。まずはどこがボトルネックになっているのか、どの作業にコストがかかっているのかを明らかにし、自動化する範囲を見極めることが大事だ。