データ統合ソフトを手がける米インフォマティカのグローバル・インテグレーション・サービス部門バイス・プレジデント、ジョン・シュミット氏に今後の戦略などを聞いた。同社ではシュミット氏が中核となり、データ統合の方法論「インテグレーションコンピテンシーセンター(ICC)」を推進している。ユーザー企業でもデータ統合のプロジェクトに携わってきたシュミット氏は、「無駄を徹底的に省くリーン生産で強みを持つ日本企業こそ、情報システムのデータ統合を実践してほしい」と語る。

(聞き手は大山 繁樹=ITpro

インテグレーションコンピテンシーセンター(ICC)が求められている背景は何か。

写真●米インフォマティカのバイス・プレジデント、ジョン・シュミット氏(写真撮影:棚橋亮)
写真●米インフォマティカのバイス・プレジデント、ジョン・シュミット氏(写真撮影:棚橋亮)
[画像のクリックで拡大表示]

 多くの企業で情報システムが複雑になり、運用コストが増大している。M&Aを繰り返してきた企業のなかには機能が重複しているシステムもある。どのシステムを誰が担当しているのか、責任者すら明確になっていないケースもある。

 私は以前、米バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)のリテール部門でシステムを担当していたが、このときCIOから言われたのは「システムの棚卸」だった。どれが重要でどれが不要なシステムなのかを見極め、シンプルな姿にしてほしいというものだった。

 そこでシステムを見直した結果、同じような機能があちこちにあった。システムの無駄な部分を削っていったところ、システムの一元化につながった。データ統合に一時的なIT投資は必要だったが、それを上回るだけの大幅な運用コストのダウンに成功したのである。

 金融業界だけでなく、私のこれまでの経験からすると、大企業のシステムでは25%~50%もムダな部分があるのでは、と感じている。

なぜ、システムが複雑になるのか、無駄な部分が出てくるのか。

 システム全体を一元化して見ていないからだろう。責任者が明確になっていないと、システムがどんどん複雑になってしまう。

 ICCの導入でも大きなポイントはそこにある。まずはシステム全体で役割と責任範囲を規定し、グレーゾーンをなくすことだ。そしてデータ統合を重要なプロジェクトと位置づけ、全社的なコアチームを設置することが求められる。ここが中心となってシステムのムダを排除していくわけだ。