ソーシャルメディアユーザーが増加した昨今、企業のマーケティング活動の場もWeb上に移りつつある。そんな中、従業員の投稿から発生したトラブルに企業が巻き込まれる事態も起き、ソーシャルリスク対策の必要性が高まっている。企業向けにソーシャルリスク対策サービスを提供しているトライバルメディアハウスのコンサルティング営業部SMMエバンジェリスト、川久保潤三氏に話を聞いた。


トライバルメディアハウスが提供しているソーシャルリスク対策のサービスには、具体的にどういったものがあるか。

トライバルメディアハウスのコンサルティング営業部SMMエバンジェリスト、川久保潤三氏
トライバルメディアハウスのコンサルティング営業部SMMエバンジェリスト、川久保潤三氏
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 主に2つある。1つは研修プログラムである「ソーシャルメディアリスクマネージャー」、もう1つは企業および個人がソーシャルメディアを利用するにあたってのガイドライン作りだ。

 このうちソーシャルメディアリスクマネージャーは、企業が潜在的に抱えるソーシャルメディアのリスク診断と、従業員のソーシャルメディアリテラシーを向上させるeラーニング研修で構成されている。eラーニング研修は2012年初頭から開始し、既に数十社が利用している。業種は製薬からアパレル、ITと幅広いが、BtoC企業が多い。

 eラーニング研修は大学生向けに無料版も提供しており、内容は社会人向けのサービスを縮小したものになっている。もともとトライバルメディアハウスは、ソーシャルメディアでのマーケティング活動支援をメインのビジネスにしており、最近起きているような若者による炎上事件で、ソーシャルメディアに対する恐怖心・嫌悪感が広がる事態は好ましくないと考えている。そこで、大学生にもソーシャルメディアの安全な使い方を身につけてもらおうというのが狙いだ。

 もう1つのガイドライン作りには、一般従業員向けとマーケティング/広報担当者向けがある。前者は、従業員が個人でソーシャルメディアを使う際に注意すべきことをまとめたもの。後者は、企業の公式アカウントを運用する担当者のためのものだ。一般従業員向けのガイドラインだけを求める企業も多い。

なぜeラーニング形式の研修サービスを開始したのか。

 2年ほど前、従業員のソーシャルメディアへの投稿が原因で、ある企業が炎上に巻き込まれたことがあった。このとき顧客企業から「炎上トラブルへの対策はないのか」という問い合わせを受けた。ソーシャルメディアマーケティングを“攻め”とすれば、その炎上対策は“守り”と言える。これまでのノウハウが活かせると考え、ソーシャルメディアリスク対策の研修サービスを手がけることにした。

 当初は、ガイドライン作成のお手伝いから始めた。だが、せっかくガイドラインを作成しても、それだけではなかなか見てもらえない。ガイドラインの内容を周知するために顧客企業に出向いて集合研修を開いたりもしたが、顧客企業の拠点は全国にあるため、時間やコストが掛かる。そこで、場所や時間の制約なしに利用できるeラーニング形式の研修サービスを2012年にリリースした。