米ガートナーのリサーチ部門バイスプレジデントのアンドリュー・フランク最上級アナリストが来日、専門分野のデジタル・マーケティングの最新動向について聞いた。同分野のキーワードを路線図のように描いた独自の「トランジット・マップ」を作成し、分かりやすい表現を工夫している。ユーザー企業での推進者として「CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)」や「CMTO(チーフ・マーケティング・テクノロジー・オフィサー)」といった役割の必要性についても語った。

(聞き手は大山 繁樹=ITpro

多くの日本企業がデジタル・マーケティングに関心を示している。これから開始したい企業はどうすればいいのか。

写真●米ガートナーのリサーチ部門バイスプレジデントのアンドリュー・フランク最上級アナリスト
写真●米ガートナーのリサーチ部門バイスプレジデントのアンドリュー・フランク最上級アナリスト
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 デジタル・マーケティングというと、FacebookやTwitterといったソーシャルメディアの活用からスタートしようとする企業がほとんどだろう。確かにソーシャルメディアは顧客と直接にコミュニケーションを取れるメリットがあるが、効果測定が難しい。

 私は既存のマーケティング活動を、デジタル化でどう高度化していくかが重要になると考えている。このためにも、まずは社内に蓄積している大量のマーケティングデータの使い方が問われる。しかも重要な点は、事前にゴールをきちんと設定し、正確に効果測定できるようにしなくてはならない。

取り組んでもうまくいかない場合も少なくないが、失敗する原因はどこにあるのか。

 企業の中には、ゴールが定まらないうちからとにかくデジタル・マーケティングを実行しようとする。ゴールまでのプロセスをどのように数値化すべきかも分からずに始めるから、十分な効果測定ができずに終わってしまう。

 ソーシャルメディアの活用だけでは、デジタル・マーケティングの活動とはいえない。マーケティングによって商品の認知度向上を目指すといっても、数値による具体的なゴールをどこに置いているかが重要である。デジタル・マーケティングでも、マーケティングに対する戦略的な取り組みが不可欠な点は同じ。当初は小さくスタートし、次第に大きくしていくことが肝要だ。