2014年4月にサポートが終了するWindows XP。ユーザー企業の移行作業はどこまで進んでいるのだろうか。社内のパソコンが数千台、数万台という大手ユーザーの顧客を数多く抱えるNECフィールディングの事業企画本部統括マネージャー、泓 宏優氏に、同社の顧客の対策状況を聞いた。

(聞き手は栗原雅=オトムメディア)


日経パソコンと電子情報技術産業協会(JEITA)が今春に実施した調査によると、企業の半数がWindows XPのサポート終了までに移行が間に合わないそうです。NECフィールディングの顧客の進ちょくはいかがですか。

写真●NECフィールディング事業企画本部統括マネージャーの泓宏優氏
写真●NECフィールディング事業企画本部統括マネージャーの泓宏優氏
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 当社は主にNECのお客様向けに保守サポートを提供している。ほとんどのお客様が数多くのパソコンを所有する大手ということもありますが、現時点でまったく対策に着手していないところはありません。パソコン数万台規模の大手企業はもちろん、数百台規模の自治体や病院も、すでにXPからの移行時に発生し得る課題の洗い出しや作業手順の整備を終え、この8月から段階的に移行作業をスタートさせています。Windows XPのサポートが終了する来年4月までにみなさん移行を完了する見込みです。

2014年4月には、XPだけでなくオフィスソフトの「Office 2003」とWebブラウザーの「Internet Explorer(IE)6」のサポートも終了する。顧客はそのことを認識していますか。

 もちろんです。情報システムの担当部門があるお客様ばかりですから、一連のサポート終了を早い段階で把握されていますし、IEをバージョンアップするためにサーバー側のアプリケーションの改修も進められています。

移行先のOSは。

 すべてのお客様がWindows 7ですね。だいたいのお客様はWindows 8が出る前、昨年秋口にはバージョンアップの検討を始めていましたから。

パソコンの台数が少ない中小企業の移行状況はどうか。

 直接のお取引はありませんが、「うちの会社は重要なデータなんてないからバージョンアップはしない」といった声が漏れ伝わってくるので、少し心配しています。取引先を含めたエコシステムを考えると、一部の企業に残ったXPパソコンに起因するセキュリティリスクが、エコシステム全体の脆弱性を高めてしまう可能性がありますから。ウイルス感染やサイバーアタックを受けた自社のパソコンが起点になって、取引先が被害を受けてしまうことは十分に考えられます。