大日本印刷(DNP)とSDLジャパンが製造業を狙った新しいソリューションを共同で展開している。DNPの製品情報管理ソフト「PRO-V」とSDLのコンテンツ管理ソフト「Tridion」を連携させ、カタログやマニュアルといった情報を管理し、Webでグローバルに提供できるようにした。製品情報管理を意味するPIMの概念を一歩進め、両社は「MIM(Master Information Management)」と呼ぶ。担当するDNPのC&I事業部BPR本部PIMソリューション企画開発室の川上能徳シニアエキスパートと、SDLジャパンの関連会社SDL Tridionのコンテンツ管理テクノロジー部の藤松良夫セールス ディレクターに狙いなどを聞いた。

(聞き手は大山 繁樹=ITpro


なぜ今、「MIM」が求められているのか。

川上氏 製造業では、PLMやSCMなど製品の開発や生産、物流といったモノを扱うソリューションは多いが、販売パートナーや顧客などに製品を知ってもらうための情報や売るための情報、使ってもらうための情報を扱うソリューションは遅れていた。

 製品の良さを効率的かつ効果的にアピールするには、これからはマニュアルやカタログといった情報も統合的に管理しなくてはならない。

写真●DNPの川上能徳シニアエキスパート(左)とSDLの藤松良夫セールス ディレクター(右
写真●DNPの川上能徳シニアエキスパート(左)とSDLの藤松良夫セールス ディレクター(右)
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 そこで「顧客接点で必要となる製品やサービスの情報を、製品のライフサイクルにわたって効果的で効率的に取り扱えるようにする」ために、MIMという概念を提唱している。

 製品情報管理ソフト「PRO-V」と、SDLのコンテンツ管理ソフト「Tridion」を連携させて1つのソリューションとして販売するようにした。さまざまな製品情報を、Web経由で海外にも簡単に提供できるようになった。

今回の新ソリューションの特徴は何か。

藤松氏 多くの企業では、マニュアルやカタログといったドキュメントの管理や再利用に、手間と時間がかかっている。両ソフトを連携させた今回のソリューションでは統合的に管理できるので、業務削減につながる。浮いた時間を企画や分析などに使えるようになる。

画面1●同じ情報を多言語で展開できる
画面1●同じ情報を多言語で展開できる
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 さまざまな国の言葉に対応できることも大きい。SDLジャパンは翻訳サービスや海外向けコンサルティングを手がけており、Tridionも欧米や中国、中東、アフリカなどの40言語にも翻訳できる機能を備える。各国向けのサイト画面をすぐに構築できる。

 グローバル時代のなか、海外進出する日本企業はマニュアルやカタログなどを現地の言葉で伝える必要があるが、翻訳の業務が課題だった。1カ所でも間違えると、すべてのドキュメントを修正しなくてはならない。

 だが、時間がかかる翻訳作業も今回のソリューションではスムーズになる。1カ所を直せばすべて連動するなど、修正作業も短時間で終わる。