“総合サービス企業”化を掲げ、メディア・コンテンツ事業、コマース、金融・決済など「新領域」における収益を2015年度に約1兆円にすることを目標にするNTTドコモ。この「新領域」の中で、サービスレイヤーで収益を上げるうえでの中核であり、ドコモ自身が直接顧客に商材を提供するのが「dマーケット」だ。デジタルコンテンツの販売・配信だけでなく、日用品など扱う商材も増え続けている。dマーケットを統括する同社スマートライフビジネス本部マーケットビジネス推進部長の前田義晃氏に現状と今後の展開を聞いた。

(聞き手は大谷 晃司=ITpro


dマーケットはスマートフォンとiモード機の両方で展開している。スマートフォンユーザーは約2000万、一方iモードユーザーは約3000万。まだiモードの方が多い。dマーケットにおける傾向は。

NTTドコモ スマートライフビジネス本部マーケットビジネス推進部長の前田義晃氏
NTTドコモ スマートライフビジネス本部マーケットビジネス推進部長の前田義晃氏

 iモード上で展開しているdマーケットのストアは「dゲーム&アプリ」「dミュージック」「dブック」の3ジャンル。スマートフォンのdマーケットよりも少ない。現在、dマーケットの中で規模が大きく契約数も増えているのは、スマートフォン向けに提供している「dビデオ」であり、既にiモードとspモード(スマートフォン)では大きな開きがある。

 dミュージック、dブックに関しても既にスマホ側の取り扱いの方が大きい。感覚的には倍以上がスマホ側の取り扱いだ。iモードユーザーが3000万いるとはいっても、トランザクションが発生する中心層は既にスマホに移っている。

 一方で、iモード側で提供しているdブックとdミュージックは取り扱いが毎月減ってはいるが、dゲーム&アプリだけは対前月比で伸びている。dブックにも単価の高いユーザーが残っている。

iモードユーザーでもタブレットを併用しているユーザーは多い。例えばiモードユーザーがdビデオを見られるようにならないか。

 社内でもそうした声はある。ただこれは結果的に各サービスをキャリアフリ―化、マルチキャリア化することで、iモードユーザーも使えることになる 。

 11月には回線契約に紐づかない新しいdocomo IDの認証基盤を整え、dマーケットのいくつかのサービスは回線契約者ではなくても使えるようになる(関連記事:NTTドコモが認証基盤を大手術、「回線ベースの認証はもはや限界」)。まずはdマーケットの中の個別課金系サービスから始める。月額課金系のサービスは、回線契約者前提の管理基盤になっており、顧客管理システムを整えなければならない。そのため、個別課金系のサービスよりはキャリアフリー化は少しだけ後になる。

 そもそもキャリアフリーという言い方自体、キャリアという概念を前提にしたものだ。初めからインターネット上で事業展開するプレイヤーにはその概念がそもそもない。我々がやりたいのは、そうしたプレイヤーと同じような振る舞いや、事業拡大のやり方を志向できるようにして、開かれたインターネット環境下で誰もが利用できるサービスを提供することだ。顧客基盤が増えれば、全体の収益レベルも引き上げられるだろう。