米マサチューセッツ工科大学メディアラボ(以下、MITメディアラボ)の教授を招いて小学校でプログラミングの特別授業をしたり(関連記事1)、プログラミング環境の大規模なイベントに協力したりするなど(関連記事2)、子どもを対象にしたプログラミング教育に力を入れつつあるベネッセコーポレーション。MITメディアラボと協力してプログラミング教育に取り組む目的について、同社デジタル戦略推進部の谷内正裕氏に聞いた。

(聞き手は田島篤=出版局)


米MITメディアラボと協力してプログラミング教育に取り組まれていますね。

 ベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)は、MITメディアラボの研究コンソーシアムである「Things That Think」に参画し、子どもたちのための次世代型学習プログラムの研究・開発に取り組んでいます。ベネッセはその以前から、「新しい学び」をテーマに情報技術を生かした教育に取り組んでいました。その延長線上にある活動として、MITメディアラボの研究コンソーシアムに2010年11月から参加しています。「新しい学び」とは何か、そしてその学び方はどうあるべきか、という課題にMITメディアラボと協力して取り組んでいます。

進研ゼミで提供している教科学習とは別の新しい教え方を模索していると。

 教え方というよりも、子どもたちが自分自身で能動的に活動できるようになる、もっとしっかり意見を言えるようになる、そのための学び方です。

 例えば米国の場合は、小さいころから「Show and tell」というかたちでプレゼンテーションを訓練する機会や、ディベート(討論)をする機会があります。これからの国際社会でグローバルな人材として活躍するためには、自分の意見を率先して言ったり、作ったものを積極的に提示したりして、周りの人たちと活発に交流していくことが必要になります。これらにつながる学びを研究し、ベネッセとしてその学び方を支援できるような事業を展開できないかが課題になります。

具体的にはどのような活動をしてきたのですか。

 MITメディアラボのなかで、子どもを対象にした「新しい学び」について研究しているのが「ライフロング・キンダーガーデン・グループ」です。その代表であるミッチェル・レズニック教授と密接にやり取りをして活動内容を検討しています。

 彼らも我々と同じように、新しい学びを具体化して多くの人々に提供しています。彼らはすでに20年以上にもわたって、こうした取り組みを続けています。最近の成果の一つが、子ども向けのプログラミング環境である「Scratch(スクラッチ)」です(関連記事3)。