米Equinix(エクイニクス)は、世界数十都市をカバーするグローバルなデータセンター事業者である(関連記事:データセンターの価値は通信事業者の数で決まる)。ユーザー企業や通信事業者に向けて、コロケーションサービスやネットワーク接続サービスを提供している。クラウド事業者との接続に注力しており、2011年には米Amazon Web Services(AWS)を同社のインフラに直結した。ITproは、データセンター事業の動向を聞いた。

(聞き手は日川 佳三=ITpro


クラウドサービスの需要が増えているのか。

米Equinix、アジア太平洋地域クラウド&エンタープライズIT担当ディレクターのEric M.Hui(許明仁)氏
米Equinix、アジア太平洋地域クラウド&エンタープライズIT担当ディレクターのEric M.Hui(許明仁)氏

 ユーザー企業によるクラウドサービスの利用が急激に増えている。企業のIT投資全体におけるクラウドへの投資の割合は2012年時点で2%に過ぎないが、2015年には20%まで伸びる。

 クラウドはこれまで、開発環境やテスト環境に使われてきた。2013年に入って、この状況が変わった。ERP(統合業務ソフト)などエンタープライズ(企業情報システム)の実運用環境として使われるようになった。

 クラウドの議論は、「What」(クラウドとは何か)や「Why」(なぜクラウドなのか)から「How」(どのように使うのか)へと移り変わった。

 コンサルティング会社のKPMCが調査したところ、2012年までのクラウドの目的はコスト削減だった。2013年には、事業の拡大や新規事業の早期立ち上げといった、ビジネス変革が主な目的になった。

クラウドサービス事業者とEquinixの関係は。

 クラウド需要の急伸を受け、Equinixでもクラウド事業者との接続性に注力している。Equinixの売り上げにおけるクラウド関連ビジネスが占める割合は年々増えており、金融サービス(20%)を抑えてクラウドは24%に達している。

 例えば、クラウド事業者が、自社のデータセンターとしてEquinixを利用する。あるいは、クラウド事業者のデータセンターとEquinixのデータセンターを直結する。これにより、Equinixのデータセンターにシステムを配置しているユーザー企業が、クラウド事業者のサービスを安全に低遅延で利用できるようになる。

 Equinixのデータセンターに直結したクラウド事業者の例が、米Amazon Web Services(AWS)だ。AWSは2011年以降、米国の一部を皮切りにネットワーク設備(ゲートウエイ)をEquinixのデータセンターに設置している。AWSの東京のゲートウエイもEquinixの東京のデータセンターに置いている。