米グーグルとクラリオンは2013年5月10日、クラリオンがグーグルの地理空間情報サービスを採用することを発表した(関連記事)。企業向けの地図サービス「Google Maps API for Business」担当シニア・プロダクト・マネージャーを務めるダン・チュー氏は日経コンピュータの取材に対して、「自動車メーカーなどに対しては、サービスの長期提供を保証する契約を結んでいる」などと語った。
グーグルの地理空間情報サービス事業の現状は?
「Google Maps」などからなる地理空間情報サービスは、企業向けのビジネスプラットフォームだ。ユーザー企業は地理情報をGoogle Maps上に保存し、それを様々な方法で活用できる。既に80万のWebサイトでGoogle Mapsが利用されているほか、数千の企業が、有償サービスであるGoogle Maps API for Businessを利用している。
Google Maps APIはWebサイトに埋め込まれたJavaScriptからGoogle Mapsの機能を利用する「JavaScript API」から始まったが、2012年12月から2013年1月にかけては「Android SDKL」「iOS SDK」もリリースし、モバイル端末でもGoogle Mapsの機能を活用できるようにした。
有償サービスを採用しているのは、不動産業や旅行業、小売・外食業などが中心だが、最近は政府・官公庁などのほか、自動車メーカーの採用も増えている。今回は車載情報機器メーカーであるクラリオンとの契約を発表したが、自動車メーカーでは独BMWや独アウディ、韓国現代自動車などがGoogle Maps APIなどを採用している。
グーグルは、企業向けビジネスを社内でどのように位置づけている?
企業向けビジネスは、グーグル社内でも売上高が急成長している部門だ。人員増強や技術への投資も積極的に行っている。企業向けビジネスは社内でも重視されている。
「Googleリーダー」のサービス終了発表などを受けて、ユーザーの中には「グーグルのサービスはいつまで続くか分からない」という不安が広がっている。
消費者向け市場では、スピードがとても重要だ。しかし企業向け市場では、我々は注意深いアプローチを採っている。我々は長期間に渡ってサポートできると判断したサービスだけ、企業向けに提供している。
ユーザー企業と結ぶ契約の中で、最低限サービスを提供する期間などをユーザー企業に対して保証しているケースがあるのか?
そうだ。ユーザー企業に対して、APIによってサービスを提供する期間を保証している場合がある。特に自動車会社と契約する場合、その期間が長くなるケースが多い。
我々は、APIによってサービスを提供する期間を示す「デプリケーションポリシー(Deprecation Policy)」を提示している。しかし、一部の企業に対しては、その期間が過ぎた場合でも、サービスの提供を保証するという契約を結んでいる。こうした契約で、パートナー、グーグルのいずれもが満足できる状況を作れば、エンドユーザーも満足できるようになると考えている。