2012年11月に発表した中期経営戦略でクラウドサービスのグローバル展開強化や海外売上高の倍増など「海外志向」を明確に打ち出したNTT。4月に北米でR&D(研究開発)拠点を設立。統一ブランドを立ち上げ、強豪ひしめく北米マーケットで伍していく。そのための布陣は整ったか。2012年6月の社長就任から8カ月が経過した鵜浦社長に今後の戦略を聞いた。

(聞き手は加藤 雅浩=日経コミュニケーション編集長)

昨年6月の社長就任から8カ月が経過した。手ごたえを感じたことは。

鵜浦 博夫
鵜浦 博夫(うのうら ひろお)
1949年生まれ。石川県出身。73年に東京大学法学部を卒業し、日本電信電話公社(現NTT)に入社。2000年東日本電信電話(NTT東日本)東京支店副支店長、2002年NTT取締役第一部門長、2007年常務取締役 経営企画部門長 中期経営戦略推進室次長兼務などを経て、2008年6月に代表取締役副社長 新ビジネス推進室長に就任。2012年6月から代表取締役社長(現職)。趣味は野球観戦(プロ野球では西武ライオンズのファン)、囲碁など。(写真:新関 雅士)

 一つは社長就任時にスローガンとして掲げた「ネクストバリューパートナー(Next value partner for Transformation by Total solution)」の評判が高い。2月末にスペインのバルセロナで開催された「MWC(Mobile World Congress) 2013」に行ってきたが、このスローガンは海外の通信事業者やクラウド事業者にも受けが良かった。ある種、私の思いを言葉にしたものだが、通信事業者としてのビジネスが現状のまま続くわけではなく、変わらざるを得ないことを理解してもらえた。

昨年11月の中期経営戦略では「クラウドサービスのグローバル展開強化」という方針を打ち出した。今準備していることは。

 海外でクラウドサービスを展開するに当たり、NTTグループとしての統一ブランドを立ち上げる予定だ。部分部分の付き合いがある海外ユーザーは既に2万を超えている。その付き合いをもっと深堀りしていくためには統一的なブランドが必要だと判断した。

 統一ブランドはNTTのクラウドがユーザーにとってバリューがあるということが伝わるイメージで考えている。一方でNTTというブランドは、英国の調査機関から高い評価を得るなど、海外でも既に浸透している。あえて難しいブランド名にしなくてもいいと思っている。NTTを冠したシンプルなものでいこうと今は考えている。