NTTドコモは2013年3月27日、無線LAN専用タブレット「dtab」の発売を開始した。同社が「dマーケット」で展開する各種コンテンツ/サービスの入口の役割を担う製品だ。価格もインパクトがある。定額制動画配信サービス「dビデオ powered by BeeTV」(以下dビデオ、関連記事:ドコモの「dビデオ」会員数が400万突破、提供開始から1年4カ月 )を6カ月間契約することを条件に1万円を切る9975円で販売する。

 現状dtabの利用には、spモード契約と「docomo ID」が必須だが、将来的には回線契約なしでもdocomo IDを使って同社の各種サービスを受けられるようにするという。まさにdtabは将来の同社のOTT(オーバー・ザ・トップ)化に向けた取り組みの一環にある戦略製品と言える。同社スマートコミュニケーションサービス部ネットサービス企画担当課長の那須寛氏とマーケティング部プロダクト戦略担当課長の武岡雅則氏にサービス展開について聞いた。

(聞き手は、大谷 晃司=ITpro


ECなどへの取り組みは、米アマゾン・ドット・コムや楽天のような存在を目指しているのでしょうか。

NTTドコモ スマートコミュニケーションサービス部ネットサービス企画担当課長の那須 寛氏(右)とマーケティング部プロダクト戦略担当課長の武岡雅則氏
同社スマートコミュニケーションサービス部ネットサービス企画担当課長の那須寛氏(右)とマーケティング部プロダクト戦略担当課長の武岡雅則氏

那須氏:まず、NTTドコモとして「dメニュー」「dマーケット」を大きく打ち出しています。dメニューはiメニューからの引き継ぎもあり、「プラットフォーマー」としての展開と位置付けられます。コンテンツプロバイダー(CP)に対して課金の仕組みやポータルを用意し、その分の手数料をいただくビジネスです。

 一方、dマーケットは自らサービス提供者として取り組んでいるビジネスになります。自分たちの売り上げ増に貢献するもので、ドコモが「総合サービス企業」に脱皮するために必要なものです。この部分を非常に大きくしていこうとしています。

 デジタルコンテンツとして音楽、ビデオ、アニメ、ブックなどを提供し、さらに2012年はゲーム(関連記事:ドコモ、iPhoneからも利用できるマルチキャリアの「dゲーム」を提供へ)とショッピング(関連記事:dショッピングの取扱高200億円はクリアできる、パーソナライズのため自ら物販の主体に)を追加しました。これは大きなチャレンジです。

 dゲームは“キャリアフリー”であり、ドコモの契約者以外のユーザーでも使えます。dショッピングはリアルな商材を扱っています。物販ではまだまだ知見が足りない部分があるため、物流などこれまでアセットがなかった部分もショッピングを通じてノウハウをためていきたいと思っています。

 「楽天やアマゾンのようになっていくのか」という話ですが、我々はお客さんにとって便利なサービスを広げていきたい。モバイルで出先などで使いやすいのはもちろん、家にいるときでもサービスを使いやすい環境を作っていくべきだと思っています。