米ピュア・ストレージ(Pure Storage)は、SSD(ソリッドステートドライブ)をベースとしたSAN接続型の外付けフラッシュストレージ「Pure Storage FlashArray」(関連記事)を開発しているベンダー。2013年1月には東京エレクトロンデバイスが国内販売を開始した。同社CEOに、フラッシュストレージの動向とSSDの利点を聞いた。

(聞き手は日川 佳三=ITpro


ストレージ市場でのPure Storageの位置づけは。

写真右から、米ピュア・ストレージでアジア太平洋担当副社長を務める マイケル・コーンウェル氏、CEOのスコット・ディーゼン氏、東京エレクトロンデバイスの上善良直氏、岩田郁雄氏、長尾圭輔氏
写真右から、米ピュア・ストレージでアジア太平洋担当副社長を務める マイケル・コーンウェル氏、CEOのスコット・ディーゼン氏、東京エレクトロンデバイスの上善良直氏、岩田郁雄氏、長尾圭輔氏
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 Pure Storageが参入する以前のストレージ市場は、ハードディスク(HDD)が主流だった。SSDは、HDDのディスクアレイに対して高速な階層やキャッシュを付加するためのものだった。一方で、HDDを使わないオールフラッシュの製品もあったが、これらは専用に設計されたハードウエアを使うなど高価な製品だった。

 こうした状況で登場したのがPure Storageだ。HDD互換の汎用SSDを搭載しつつ、HDD向けのストレージソフトウエアを踏襲することなくSSD向けに一からソフトウエアを開発した。この結果、オールフラッシュの性能をHDD並みの容量単価で提供できる製品となった。

 高速ストレージの市場は、世界で150億ドルの規模を持つ。この市場の多くが、今後10年のうちにSSDベースのフラッシュストレージに移行するだろう。

既存ストレージにSDDを搭載しただけではだめなのか。

 HDDの特性とSSDの特性が異なるため、これらを上手に混在させるのは難しい。例えば、HDDはヘッドを動かすので、書き込みや読み出しを問わず、ランダムI/Oアクセスが苦手だ。一方で、SSDはランダムI/Oを得意としており、書き込みは遅いものの読み込み性能は高い。

 ストレージソフトウエアをHDDの特性に合わせた場合、ランダムI/Oを回避して意図的にシーケンシャル(連続した)I/Oにしようと努力する。こうなると問題なのが、インライン重複排除のように構造上ランダムI/Oになってしまう技術だ。HDDでは、こうした技術を事前に排除してしまうことになる。

 その点、Pure StorageはSSD専用にソフトウエアを開発しているので、SSDの特性に適した機能を実現できている。インライン重複排除がその例だ。前提としてアドレス空間を仮想化している点も重要だ。外部から見えるアドレス空間と実際に書かれるフラッシュ上のアドレス空間をポインターでつないでいる。重複排除時にランダムに書かれるデータをまとめて1カ所に書くことで、より高速化している。